三菱電機株式会社

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「市民開発」を原動力に短期間で10万人以上へのシステム展開を達成

三菱電機グループが標準ワークフローシステムとして楽々WorkflowIIを採用
「市民開発」を原動力に短期間で10万人以上へのシステム展開を達成

国内を代表する電機メーカーである三菱電機株式会社(以下、三菱電機)は、20年以上の利用により老朽化が進んでいた旧来型の標準ワークフローに代わり、新標準ワークフローとして楽々WorkflowIIを導入。ノーコードで画面や承認経路を設定できる楽々WorkflowIIの利点を活かし、エンドユーザ主導で開発を行う「市民開発」でシステム展開を進めた結果、急速な勢いで三菱電機グループ内にシステムが普及した。運用開始から約2年半後にはユーザ数が10万人以上に達し、新たな標準ワークフローシステムを確立した。

老朽化した旧来型のワークフローシステムにより課題が山積
コロナ禍に対応するため、新たなシステムの導入を決定

三菱グループの総合電機メーカーとして広く知られる三菱電機。一般家電から人工衛星まで、多種多様な電機製品を製造・販売し、世の人々の暮らしを支えている。従業員数は関係会社などを含め14万人以上。世界44ヶ所に事業を展開し、国内にも約50ヶ所の拠点、約100社の関係会社を有している。

強大な組織力を誇る三菱電機。しかし、その組織の大きさゆえの苦労もある。例えば、三菱電機グループ標準のシステムを導入する際には、多数の部門や関係会社と調整を重ねながらシステムを展開しなければならない。そのため、そうした際には導入の手間をいかに削減するかが重要なポイントになる。

2020年11月、三菱電機は20年以上利用していた旧来型のワークフローシステムに代わり、新標準ワークフローとして楽々WorkflowIIを導入した。システムの老朽化による利便性の低下が、リプレイスを検討しはじめたきっかけだった。プロセス・オペレーション改革本部ITシステム推進室システム基盤部技術推進グループの小瀧義久氏は、当時の課題を振り返る。

「以前のワークフローシステムは運用開始から20年以上が経過しており、さまざまな部分で老朽化が目立っていました。その一つが、機能追加がむずかしい点です。以前のワークフローシステムは20年ほど前のフレームワークで構築されていたこともあり、スマートフォン対応などの欲しい機能を追加しづらい仕組みでした。また、拠点ごとにサーバを設置しなければならないのも難点でした。

クラウドファーストが主流になりつつある昨今、各拠点に複数のサーバを設置するのは時代に逆行しています。こうした課題を解決するため、当社では以前から新ワークフローシステムの導入を計画していましたが、コロナ禍により検討が加速。新たな三菱電機グループ標準になるワークフローシステムを導入することになりました」(小瀧氏)。

三菱電機はコロナ禍における出社制限に対応するため、リモートワーク環境を急速な勢いで整備。それに併せて、「全社ペーパーレスプロジェクト」を開始し、その一環として新標準ワークフローシステムの導入に取り組むことになった。

「市民開発」を可能にする開発の容易さが選定の決め手
大企業に馴染みやすい各種機能も選定を後押しした

システムの導入にあたって、三菱電機は「市場シェアが高い製品であること」「三菱電機グループ内で利用実績があること」の2つの要件で製品を選定。要件を満たした2つの製品で比較検討を実施した。その結果、採用されたのが楽々WorkflowIIだった。

決め手になったのは、開発の容易さだ。楽々WorkflowIIは、ノーコードで申請書の画面や承認経路を設定できるほか、Excelで作成した帳票をそのままのデザインで読み込めるなど、システム導入の未経験者でも開発しやすい機能を多数備えていた。ワークフローシステムの導入にあたって、三菱電機は当初から「導入の手間をいかに削減するか」を念頭に置いており、各部門や各拠点が主導で開発を行う「市民開発」の手法でのシステム展開を狙っていた。そのため、開発の容易さは欠かせない要素だった。

また、「大企業に馴染みやすい製品」という点も楽々WorkflowIIの魅力だったと小瀧氏は指摘する。

「大企業は中小企業に比べて組織構造が複雑なため、一律のルールで統制するのが困難です。当社も例に漏れず、各拠点で独立独歩の体制を敷いているため、部門間で組織構造が大きく異なります。例えば、情報システム系の部門は事業本部ごとや工場ごとに設置されていますし、そもそも事業本部ごとに製造している製品が異なるため、業務や製造、営業のプロセスも多岐にわたります。こうした組織に三菱電機グループ標準のワークフローシステムを導入するには、承認経路や承認権限を柔軟かつきめ細やかに設定できなければいけません。その点、楽々WorkflowIIは製品サイトにも『大企業・大規模・長期運用でも安心』と謳っているとおり、大企業の実態を理解した機能が多数実装されていました」(小瀧氏)。

組織構造の特徴
三菱電機の組織構造。事業本部ごとや工場ごとに独立独歩の体制を敷いており、組織構造が多岐にわたる。例えば、情シス部門は本社だけではなく、事業本部や工場にも設置されている。

楽々WorkflowIIの導入を決めた三菱電機は2020年8月から導入を開始。12月に発生が予想されていた新型コロナウイルスの第3波を見越し、冬までの運用開始を目標に開発をスタートさせた。

仮想ユーザの機能を活用し、複雑な組織構造を整理
運用開始後には積極的な利用促進施策でシステム展開を後押し

導入を担当した技術推進グループメンバーを中心とした約25名のプロジェクトチームは当初の計画通り、各部門や各拠点が開発を主導する「市民開発」の手法でシステムを展開。楽々WorkflowIIの画面内に部門ごとや拠点ごとのキャビネットを作成し、それぞれが自由にワークフローを開発できる体制を築いた。

また、部門間で組織構造が異なるという課題を乗り越えるため、プロジェクトチームは楽々WorkflowIIの仮想ユーザの機能を活用した。仮想ユーザとは、申請者を基準に相対的な役職を定義できる機能。部門間で役職の名称や構造が異なっていても、別々に役職を定義する必要がなく、効率的に承認経路や承認権限を設定できる。この仮想ユーザの機能を活用し、プロジェクトチームは三菱電機グループ内の役職を整理。一つの仮想ユーザに複数の役職を紐付けるなどして、システム展開の効率化を促した。

こうした取り組みが功を奏し、三菱電機は2020年11月に楽々WorkflowIIの運用開始に至る。着手から約3か月という短期間での導入だった。そしてプロジェクトチームの取り組みはそれだけに留まらない。プロジェクトチームは導入と並行して、システムの利用促進施策を打った。利用方法や開発方法などを積極的に発信し、各部門が自律的にシステムを利用できる体制を目指したのである。利用促進施策について、プロセス・オペレーション改革本部ITシステム推進室システム基盤部技術推進グループの杉本留菜氏は説明する。

「楽々WorkflowII専用の情報共有サイトを設置して、製品のガイドラインやマニュアルなどのコンテンツを集約し、積極的な情報発信に努めました。特に力を入れたのが、独自で制作した教育コンテンツです。システムの定着を図るため、操作方法やワークフローの作成方法などを学べる動画などのコンテンツを制作しました。作成した動画の総再生回数は1万回以上にのぼり、従業員のシステムへの理解を大きく後押ししました」(杉本氏)。

楽々WorkflowIIの情報共有サイト
楽々WorkflowIIの情報共有サイト。製品のガイドラインやマニュアルなどのほかに、プロジェクトチームが独自で制作した教育コンテンツが掲載されている。

そのほか、プロジェクトチームはユーザ同士が質問や活用事例を投稿するコミュニケーションサイトを設置。ユーザ同士が情報を共有しながら、疑問を解決できる環境を築き、システムの利用促進を図った。

運用開始から約2年半で10万人以上へのシステム展開を実現
業務を継続的に改善し、長期的な運用を目指す

楽々WorkflowIIの運用開始から約2年半後。三菱電機は53拠点、関係会社61社、約10万人以上へのシステムを展開した。2023年4月時点で、申請書は、1万種類、発行文書数は228万件にのぼり、名実ともに三菱電機グループ標準のワークフローシステムが確立されたといえる。「市民開発」の手法が従業員へのシステムの定着を促し、システム展開を加速させた。

「『市民開発』で楽々WorkflowIIのシステム展開を急速に進めることができた反面、類似したワークフローが複数作成されていることや、各拠点が独自で開発しているプラグインの影響により、運用負荷が増加傾向にあります。三菱電機グループへの展開はひとまず成功したので、今後は類似したワークフローやプラグインを統合するなどの業務改善活動を行い、運用の負荷軽減を進めたいです。そうした取り組みを通して、システムの長期的な安定運用を実現するのが次の目標です」(杉本氏)。

巨大な組織力を維持しながら、いかに組織運営を効率化するか。すべての大企業が避けられない難問だ。三菱電機の取り組みは、その難問に対して一つの解答を提示したといえるだろう。本事例は、組織運営に課題を抱える多くの大企業のよき手本になるに違いない。

小瀧氏
三菱電機株式会社
プロセス・オペレーション改革本部
ITシステム推進室システム基盤部
技術推進グループ
小瀧 義久 氏
杉本氏
三菱電機株式会社
プロセス・オペレーション改革本部
ITシステム推進室システム基盤部
技術推進グループ
杉本 留菜 氏

三菱電機株式会社のホームページ

※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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