株式会社エフテック
稟議申請の平均日数を半減させ、グループ内の業務改革も推進
目次
株式会社エフテック
システム構築未経験の総務部を中心に楽々WorkflowIIを導入
稟議申請の平均日数を半減させ、グループ内の業務改革も推進
国内4拠点、世界18拠点を展開する自動車の足廻り機能部品メーカー・株式会社エフテック(以下、エフテック)は、稟議申請に用いられていた紙の稟議書を電子化するため楽々WorkflowIIを導入。システム構築未経験の総務部のメンバーを中心に導入を進め、稟議書の電子化に成功した。これにより、同社は決裁までの平均日数を半減したほか、内部監査における指摘件数を1/10程度に抑えられる見込。さらに、現在は楽々WorkflowIIを他の申請業務にも展開し、グループ内の業務改革にも活用している。
稟議申請の指摘事項が年間200件近く発生
内部統制強化と業務効率化を目指し、稟議書の電子化を決意
埼玉県久喜市に本拠を置くエフテックは、自動車の足廻り機能部品などを製造・販売している。70年以上に渡り、国内外大手自動車メーカーに向けて、自動車の基本性能である「走る」「曲がる」「止まる」を司る製品群を供給してきた。1987年にはカナダに拠点を設立し、海外事業展開を開始。現在は、国内4拠点、北米8拠点、中国4拠点、アジア6拠点を展開し、グローバルなネットワークを構築している。
同社は2019年から楽々WorkflowIIを導入。約2か月という短期間の内にシステムを全社展開し、各種申請業務の電子化を進めている。その発端は稟議申請の電子化だった。経営企画室業務改革プロジェクトに所属する明石恭子氏は、楽々WorkflowIIの導入に至る経緯を振り返る。
「以前、当社は稟議申請に複数の問題を抱えていました。その一つが帳票への記入不備です。当社では紙の帳票で稟議書を作成していたのですが、拠点ごとの運用に微妙な齟齬があったほか、申請ルールの周知が進んでいなかったため、記載漏れなどの記入不備が多発していました。稟議書の記入不備は差し戻しの要因であり、業務効率を低下させますし、何より内部監査の指摘事項になります。実際に、2018年度の内部監査では、稟議申請に関して約200件の指摘がされています。これは看過できない課題でした」(明石氏)。
また、紙の稟議書に起因する、決裁の長期化も大きな課題だった。以前、エフテックでは稟議申請が決裁されるまでに平均6.9日の期間を要していた。さらに、遠隔拠点からの稟議申請の場合、社内便による郵送や出張などの手間を要するため、決裁までに平均8.6日がかかっていた。こうした課題を解消し、稟議申請の効率化や適正化を実現するためには、稟議書の電子化が必要不可欠となっていた。
専門知識がなくても導入しやすいことを評価し、楽々WorkflowIIを選定
総務部を中心に導入を進め、約2か月間でシステム構築を完了
稟議申請の電子化を決定したエフテックは、ワークフローシステムの導入に向けて動き出した。複数の製品の中から「汎用性の高さ」「操作性の高さ」「安価なコスト」などの項目で比較検討を実施。その結果、楽々WorkflowIIの導入が決まった。専門知識がなくても申請フォームが構築できる楽々WorkflowIIの操作性の高さや、CPU課金の価格体系などが選定の決め手だった。
その後、エフテックは楽々WorkflowIIの導入に着手した。推進体制としてはシステム構築の経験はないが、電子化ターゲットである稟議書の主管部門である総務部のメンバーが中心となり、情報システム部や人事部のメンバーがサポートに回る体制を採った。加えて、導入時には、可能な限りシンプルに電子化を進めるよう心掛けたと明石氏は話す。
「社内の混乱を避けるとともに、導入時の開発工数を抑えるため、申請フォームを作成する際には紙の帳票をそのまま電子化することとしました。記載項目に関しても、システムで制御できるものについては可能な限り制御し、拠点ごとのローカルルールを排除しています。また、ワークフローについてはメンテナンス性を念頭に置き、複雑な設定は施さず、難易度の高い制御については運用でカバーすることにしました」(明石氏)。
申請フォームの作成
- Excelで作成したフォーマットを、そのままシステムに取り込む機能が標準装備されているが、入力フォームを新たに作成した。楽々WorkflowIIでは、各種フォームの新規作成も視覚的にわかりやすく、簡単にできる。
2019年3月にハンズオン講習を受講した後、システムの構築に着手し、約1か月間で作業を完了。その後、約1か月間で運用開始に向けた社内調整を実施し、同年6月には本番運用をスタートさせた。管理本部へ先行してシステムを開放し、改善要望などを反映しながらシステム構築を進めたことや、全5回のシステム説明会を開催して、現場部門への教育を入念に行ったことなどが功を奏し、約2か月間という短期間で導入を完了することができた。
なお、インフラ環境については情報システム部門が構築を担当。サーバにはAWSを選択し、スムーズな導入を後押しした。AWSはサーバの導入に時間がかからず、拡張性にも優れている。グローバルに事業を展開するエフテックにとって、海外拠点にもシステムを展開しやすいAWSは非常に魅力的だった。こうして、同社は楽々WorkflowIIの全社展開を強力に推進していった。
200件以上発生していた内部監査の指摘件数は1/10程度に抑えられる見込
継続的な改善活動により、従業員に「ペーパーレス化の意識」が芽生え始めた
楽々WorkflowIIの導入後、エフテックは稟議申請の業務効率化を実現した。以前、多発していた記入不備は、申請フォームの記載項目の制御などにより減少。持ち回りや遠隔拠点からの郵送などの手間も不要になったため、決裁までの平均日数は大幅に短縮された。
事実、同社が実施した効果検証によれば、6.9日を要していた決裁までの平均日数は、2022年には3.4日に半減。記入不備についてはより顕著な効果が出ており、約200件にのぼっていた内部監査時の指摘件数は、2022年上期には10件にまで減少。実に記入不備は1/10程度にまで削減する見込である。
- 導入の翌年には決裁までの期間が半減。導入から3年目の2022年度には内部監査における稟議申請の指摘は約1/10程度に削減する見込。
さらに、同社は楽々WorkflowIIの導入後も継続的な改善活動を展開。ユーザからの要望や希望を柔軟に取り入れながら、申請フォームなどを改善していった。例えば、稟議書の金額部分の入力ミスを防止するため自動計算機能を追加したほか、入力項目をタブ表示し選択式にするなどの改善を加えている。こうした取り組みによるシステムの利便性向上は、多くの従業員から高く評価されていると明石氏は語る。
「現場部門からは『導入当初は操作に慣れるまでに苦労したが、最近では差し戻しなく早期決裁されることが多くなった』という声が挙がっています。一方で、管理部門からは『現場部門へのシステムの定着が進んでいると実感するとともに、ペーパーレス化の意識が芽生え始めていると感じる』という声もあります。従来、当社はアナログの文化が根強く、デジタルに忌避感を抱く社員も少なくありませんでしたが、楽々WorkflowIIの利便性向上を通じて、そうした忌避感の解消が進んでいます」(明石氏)。
楽々WorkflowIIを業務改革基盤として活用
100件近い申請業務を電子化し、グループ内のDXを推進
楽々WorkflowIIの導入により、稟議申請の効率化を実現し、社内のペーパーレス化を推進したエフテック。現在、同社は、その経験を活かして業務改革に取り組んでいる。楽々WorkflowIIを稟議申請以外の申請業務にも適用し、紙の帳票を電子化することで、グループ内のDXを進めていく構えだ。その進捗状況について明石氏は説明する。
「導入後から着実に開発を進め、現在まで94業務の申請業務を電子化しています。社内の開発担当者は各部門に実務を兼任した5名程度と決して潤沢な人員ではありませんが、最近では開発作業にも習熟し、複数の本部や部署を行き来するような複雑な申請業務も電子化できるようになりました。実際に、導入当初は年間15業務程度だったワークフロー化件数も、開発スピードの向上により、現在では年間45業務に増加しています。こうした活動により、『業務を見直して、ワークフロー化する』という業務改革の型が確立され、社内に浸透しつつあります」(明石氏)。
- 楽々WorkflowII導入後、94件の申請業務をデジタル化。導入当初は年間15件程度だった開発スピードは、現在では年間45件程度と大幅に向上している。
明石氏は「まだまだ取り組みは道半ばですが、今後も楽々WorkflowIIを積極的に活用して、業務改革を進めていくつもりです」と力強く語った。稟議申請の電子化という一つの改善活動をきっかけに、エフテックでは業務改革の文化がグループ内に根付き始めている。今後、その取り組みはどのような成果を残していくのだろうか。同社の躍進を支える業務改革基盤として、楽々WorkflowIIに大きな期待が寄せられている。
経営企画室
業務改革プロジェクト
明石 恭子氏 ※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。