株式会社横浜銀行
稟議書の電子化事例
目次
金融機関の稟議書・帳票の電子化を楽々WorkflowIIで実現
業務工数を削減し、業務の効率化、ペーパーレス化を推進
神奈川県横浜市西区に本店を置く株式会社横浜銀行。同行では働き方改革の推進に向けた業務削減運動に取り組み、あらたなワークフローシステム導入による稟議書や帳票類の電子化を検討。その結果、機能面と金融機関への導入実績を評価して楽々WorkflowIIを導入した。稟議書や帳票の起案・作成の時間を削減するとともに、回付時間も大幅に短縮した。
働き方改革の推進に向けた業務削減運動を受け
ワークフローによる稟議書の電子化に取り組む
株式会社横浜銀行は、1920年(大正9年)に横浜興信銀行として設立されてから2020年に設立100周年を迎える。同行は、設立後31行の銀行を受け継いでいるが、その一つの第二銀行のルーツである1869年設立の横浜為替会社までさかのぼると、150年超の歴史を持つ「日本で最も歴史の長い銀行」となる。
横浜銀行では従来、融資にとどまらずさまざまな案件について銀行内で稟議が行われており、回付時間の長さや準備の煩雑さ、処理中の人を探せないといった稟議に対する課題が生じていた。過去に稟議書の電子化を検討したこともあったが、二つの課題を解決できずに断念した。
株式会社横浜銀行ICT推進部の八幡 昇氏はその課題について、「一つは回付ルートが複雑なためで、横浜銀行では決裁部署が細かく規定されており、複数の部署が絡む案件も多く、稟議の内容や調整状況により回付ルートを随時検討する必要があります。回付ルートも複雑で、当時のワークフローシステムでは対応が難しかったのです。もう一つが人事異動と組織変更への対応です。横浜銀行の大きな人事異動は年4回ですが、細かいものを合わせると十数回あります。兼務を伴う人事異動、組織変更やそれにともなう引き継ぎ業務も多く、これらにも当時のワークフローシステムでは対応が難しいという課題がありました」と振り返る。
1万7千時間超の削減を見込み稟議書電子化を再検討
機能面や導入実績を高く評価して楽々WorkflowIIを採用
すでに導入していたワークフローシステムは稟議書の電子化実現には向かないことが分かっていたため、新しいワークフローシステムを探すこととした。あらたなワークフローシステムに求めた必須機能が、起案時および回付中に柔軟に回付先を設定できること、回付時間短縮のため関連部署複数同時に承認依頼を出せること、関連部署間で適切な情報共有を可能とすることの三つだ。
株式会社横浜銀行 ICT推進部の岩坂 京子氏は、「禀議書電子化による削減を17,460時間/年(116.4人月)と定めました。電子化により少なくとも稟議書1件あたり1時間は削減できるという見込みで、過去の実績から年間の稟議書数を1万7460件としての試算です」と語る。
ワークフローシステム選定にあたっては、現行システムの分析から必要な機能の洗い出し、情報収集、製品ベンダー10社へのヒヤリング、5社へのRFP回答依頼などを行い、候補製品を絞り込んだ。入念な評価利用を経て最終的に選ばれたのが住友電工情報システムの「楽々WorkflowII」である。
楽々WorkflowIIを選んだ理由について岩坂氏は、「稟議書電子化の課題を解決するのはもちろん、運用面を含めた機能の充足度も高く、使い勝手も良いことをまず評価しました。住友電工グループや他の金融機関でも導入されている実績なども採用のポイントとなりました。とくに機能面は、住友電工情報システムからのRFPへの回答が109項目中103項目について対応可能となっており、課題であった回付ルートの煩雑さ、人事異動や組織変更への対応について満点の回答だったことを高く評価しました」と語る。
約1万人が複数拠点で使用するワークフローシステムを構築
稟議書の電子化により管理工数の削減と回付時間の短縮を実現
楽々WorkflowIIを導入するにあたり横浜銀行が期待した主な効果は、稟議書を電子化して本部の業務効率化を図ること、帳票作成の内製化によりペーパーレス化を推進して紙の管理に関わる業務を削減することの二点だ。岩坂氏は、「当時の横浜銀行には大きく三種類の帳票がありました。すでに導入されていたワークフローシステム内の電子帳票、稟議書、書式の指定がある帳票です。これらをすべて楽々WorkflowIIに載せて全行で使用し、ペーパーレス化を推進することを目標としました」と語る。
導入フェーズでは、なにより利用率向上のために分かりやすさを重視した。そのため、行内のポータルサイトの最も目立つ場所に楽々WorkflowIIへの入り口を配置、承認依頼の状況を表示させた。システム内の用語を行内ルールに合わせ、UIにも十分配慮し直感的な操作での利用を可能にした。また、回付先の設定は必要最小限で済むよう工夫し、利用者の入力の手間を省いた。次に、利用時にストレスのないレスポンスを実現することも重要なポイントだった。
約1万人が複数拠点で日常業務の中で使用するため、住友電工情報システムにサイジングや性能負荷試験の支援を依頼してレスポンス向上を図った。さらに、複雑な人事異動や大掛かりな組織変更への対応についても、楽々WorkflowIIの開発オプションや標準機能を利用してしっかりと対応できるワークフローシステムを構築した。
2018年10月後半、楽々WorkflowIIは正式に稼働をスタート。約7ヶ月が経過後には、起案や承認を行う1日の利用者は約1,500人から2,500人で推移した。期待していた効果の実績は次の表の通りである。
まず期待効果の一つ目である稟議書の電子化について岩坂氏は、「起案数が3,353件で1帳票あたり紙の管理が1時間減ると換算して、3,353時間の削減が実現できたことになります。稟議書の回付時間についてもこれまで1週間程度かかっていたところが、1~2営業日で回付が完了するようになっています」と語る。
二つ目の帳票作成の内製化では、23帳票があらたに内製により電子化されて計1,412件の起票があった。電子化による管理工数の削減を1件あたり20分とすると471時間の削減効果である。また、従来のワークフローシステムでは帳票類の作成を外部に委託しており、その工数は平均で1.6人月相当だったため、内製により23帳票で36.8人月分のコスト削減が実現できていることになる。
これら効果により約7ヶ月で、全体では3,824時間(25.5人月)の紙の管理にかかる工数を削減できたことになる。岩坂氏は、「ペーパーレス化は着実に推進できているといえます。稼働後1年が経過した段階でさらに詳細を評価する予定です」と話す。八幡氏も、「効率化によって行員もより高いレベルの仕事ができるようになりましたし、その分コストも削減したと思います。ストレスフリーになった点が一番良かったと感じています」と評価している。
顧客宛帳票、指定帳票以外のすべてのワークフロー化が目標
楽々WorkflowIIを活用したさらなる業務効率化を進めていく
楽々WorkflowIIの導入を完了した横浜銀行では、さらなるペーパーレス化による業務削減を実現するため、顧客宛ての帳票、提携先から指定されている帳票以外はすべてワークフロー化することを目標としている。具体的には、2019年4月から10月までをフェーズ1として210の帳票のワークフロー化を実施、2019年10月から2020年4月までのフェーズ2でさらにワークフロー化を進め、4月以降のフェーズ3では他ソリューションとの連携が必要な帳票のワークフロー化も予定している。
そのため、横浜銀行では楽々WorkflowIIの稼働前から事前説明会を実施し、ワークフローを使って業務を変えるという意識改革を進めてきたが、引き続きワークフロー帳票の研修を定期的に開催し、ワークフロー帳票作成推進に向けて各部に責任者を出してもらっている。今後について岩坂氏は、「ワークフロー化の推進状況に対するインセンティブの設定なども関連する部署と調整を始めています。すでに行内には協力体制ができており、楽々WorkflowIIも活用してさらなる業務効率化を進めていきます」と意欲を見せた。
※本事例中に記載の社名や、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。