メテック株式会社
めっき加工の作業工程における手書きの手間や記入ミスを撲滅
目次
ものづくりの生産現場に楽々Webデータベースを導入
「手書き作業」を大幅削減し、
1日につき約7時間(410分)の業務効率化を実現
機能めっき等の金属表面処理を手掛け、半導体部品用のリードフレームの表面処理においては国内有数の技術力を有するメテック株式会社(以下、メテック)では、生産現場における管理帳票やロット票への「手書き」の効率化を目指して、楽々Webデータベースを導入。基幹システムとの連携等を通じて、作業工程における手書きの手間や記入ミスによるクレームリスクなどを大幅削減し、1日につき約410分の業務効率化を実現している。
作業負担の軽減などを目指し、「手書き作業」の効率化を検討
試行錯誤の末、パッケージシステムの導入を決定
メテックは1918年の創業以来、めっき加工事業を手掛ける老舗ものづくり企業。2021年現在、国内5拠点、海外2拠点を展開し、半導体部品用のリードフレームの表面処理では国内のデファクトスタンダードとなる技術を生み出すなど、業界でも抜きんでた技術力を誇っている。
同社が楽々Webデータベースを導入したのは、生産現場における一つの課題がきっかけだった。同社の開発・技術統括部開発・技術課主事の佐藤修氏は、導入のきっかけを「めっき加工の作業過程における『手書き』を削減するためだった」と語る。
同社のめっき加工の作業工程は、大まかに3つの作業に分類される。
①素材入荷…入荷された素材のメーカー、素材ロット、製品名、数量等を確認し、基幹システムのOBIC7に入力。基幹システムが出力する作業指示書を素材に添付し、めっき加工の担当者に引き渡す。
②めっき加工…素材を生産ラインに流して加工し、素材をカットした回数や、サンプル数、カット後の重さなどを管理帳票に記載。その後、ロット番号等を記載した「ロット票」を作成し、加工後の製品とともに包装担当者に引き渡す。
③包装・出荷…製品を個別に包装しラベルを貼付し、積み付けられた順番にロット票の情報をもとに出荷明細を作成する。製品に出荷明細を添付し出荷する。
佐藤氏は、②における管理帳票やロット票への手書き作業を効率化できないかと、生産現場のスタッフから相談を持ちかけられた。
「ライン作業中の手書きは非常に煩わしく、スタッフの負担となっていたほか、記入ミスも頻繁に起こっていました。特に、ロット票のロット番号に誤りがあった場合、ユーザーからのクレームにつながってしまいます。以前、ロット番号を誤った際には、遠く離れた外部倉庫までロット票を張り替えに出向き、半日を無駄にしたこともあったと聞いています。そのため、生産現場では、手書き作業の早急な改善が望まれていました。」(佐藤氏)
相談を受けた現場担当の技術課課員がExcelで管理シートを作成し、スタンドアロンPC上で運用を開始。管理帳票への手書き作業の代替を図ったが、PCへの手入力も手書き作業と同様にライン作業の負担になってしまうほか、管理シートのデータを共有しにくいという問題点も浮き彫りになった。
そこで、佐藤氏は、スクラッチ開発によるシステム導入を検討し、システム開発会社に見積りを依頼。しかし、結果は大幅な予算超過であり、外注によるシステム開発も断念せざるを得なかった。試行錯誤の末、佐藤氏は開発ツール(ノンプログラミング含む)を用いて自社開発を目指すことにした。
選定の決め手はスモールスタートのしやすさ
約3ヶ月の短期間で、楽々Webデータベースの導入に成功
佐藤氏は複数のデータベースシステムをリサーチし、最終的に楽々Webデータベースを含めた4製品を比較検討。選定の一番の決め手は「スモールスタートのしやすさ」だったという。
「改善の対象となったのは、作業工程の一部分の作業なので、そこに掛けられる予算も限られています。その点、楽々Webデータベースは、他のシステムに比べてコストパフォーマンスに優れ、画面もシンプルで直感的にわかりやすい。今回のような部分的な業務改善にも適していると感じました」(佐藤氏)
加えて、佐藤氏は楽々WebデータベースのExcelとの親和性の高さも魅力的だったと語る。楽々Webデータベースは、Excelを取込むだけでシステム化が可能なため、従来、Excelを利用してきた感覚で開発が進められる。それは短期間かつ手軽な開発を目指す佐藤氏にとって、重要なポイントだった。
システム選定後の2020年7月中ごろ、メテックにおける楽々Webデータベースの導入プロジェクトが開始される。プロジェクトメンバーは、佐藤氏を含む5名。メンバー間で議論を重ねながらサンプルを作成し、テストと評価を繰り返して完成に近づけるという、アジャイル型の開発でプロジェクトは推進された(大掛かりな体制を整えなくても開発が進められるのも楽々Webデータベースの魅力の一つ)。
その結果、2020年9月にシステムは本番稼働を開始。本番稼働後も改善は加えられたが、2020年11月にはほぼ全ての開発が完了し、約3ヶ月という短期間でプロジェクトを終えることができた。
開発の期間について、佐藤氏は「当初、9ヶ月はかかると見込んでいましたが、その1/3程度で完了してしまいました。予想以上に楽々Webデータベースは利用しやすく、早いものでは2～3日で1つのアプリを開発できました」と振り返り、楽々Webデータベースの操作性を高く評価する。
また、開発時に注力した点として、佐藤氏は「バーコードやQRコードの活用」を挙げる。
今回のプロジェクトでは、楽々Webデータベースと基幹システムのデータを連携させた。具体的には、OBIC7で出力される作業指示書のバーコードを利用し、めっき加工の担当者は楽々Webデータベースに対してバーコードを読み取り自動入力することで、素材に関する情報を確認できるようになり、管理帳票への手書き作業や手入力が削減された。
さらに、ロット票にロット番号をQRコード化してプリントすることで、従来、包装の担当者がロット票を見て管理帳票に転記していた作業も、楽々Webデータベースに対してQRコードを読み取り自動入力できるようにした。加工工程と包装工程の情報連携が図れ、ロット番号などの記入ミスを防止できるようになった。
手書き作業を削減し、1日につき約7時間(410分)の業務効率化を実現 クレームのリスクも完全払拭
プロジェクトの終了後、当初の予想以上の導入効果が生まれているという。
「特に大きいのは、業務の効率化です。従来の手書き作業が、バーコードの読込みなどに代替されたため、作業の手間は大幅に削減されました。担当者にヒアリングをすると、1ロットにつき約10分間の作業が短縮されているといいます。これを1日分に換算すると、約410分の作業が削減されていることになります」(佐藤氏)
さらに、手書き作業の削減により、従来、付き纏っていた記入ミスによるクレームのリスクも払拭された。事実、導入後から現在まで、記入ミスに起因するクレームは1件も報告されていない。
今回のプロジェクトを通じて、佐藤氏は楽々Webデータベースの「Excelでシステムを補完できる点」を特に高く評価する。Excelで作成したデータをそのままシステム化する「活Excel」のスタイルは、開発に大きく貢献したのだという。
「例えば、当社の導入時には、楽々Webデータベースに、複数のセルに入力されている文字列を結合する機能は実装されていませんでした(※2021年1月のバージョンアップで実装)。しかし、Excelで文字列を結合させて、そのExcelをシステム上にアップロードすれば、楽々Webデータベース単体では設定できない機能も実現することができます。このようにExcelで機能を補うことができるのは、楽々Webデータベースの強みです。Excelと組み合わせれば大体のことは実現できます」(佐藤氏)
楽々Webデータベースを、社員の学習サポートツールにも転用
今後は社内への水平展開を図り、組織全体の業務効率化を加速させる
低予算かつ短期間というスモールスタートの開発で、楽々Webデータベースを導入し、予想を上回る業務効率化を実現したメテック。現在は、作業工程以外にも、社内の「めっき検定」の受験者向けに、オンラインで過去問を回答できるシステムを楽々Webデータベースで構築。学習サポートのツールとしても利用している。
今後は、他部門・部署の業務にも楽々Webデータベースを水平展開し、組織全体に業務効率化の効果を波及させていく構えだ。
「以前、めっき加工の担当者がしていたように、社内にはまだまだ手書き作業が残っています。今後は、今回の導入の経験を活かして、社内の手書き作業の削減や業務の効率化を推進していきたいです。自部署でも、現在は研究開発に用いる毒物・劇物の管理を紙の様式へ手書きで行っているので、楽々Webデータベースを導入し水平展開への足掛かりにしたいと考えています」(佐藤氏)
開発・技術統括部
開発・技術課 主事
佐藤 修 氏
