国立大学法人鹿児島大学

国立大学法人鹿児島大学

デジタル化が困難だった100種類以上の業務を楽々Webデータベースに取り込み、DXを加速

楽々Webデータベースが大学内の運用ルールに完全に準拠
100種類以上の業務アプリを開発し、業務部門主導のDXを推進

「進取の精神」を基本理念とする国立大学法人鹿児島大学(以下、鹿児島大学)は、全学的なDXを推進するキーツールとして楽々Webデータベース(以下、楽々WDB)を導入。既存システムではデジタル化が困難だった100種類以上の業務を楽々WDBに取り込み、DXの効果を学内全体に普及させようとしている。さらに、今後は楽々WDBを人材育成のためのツールとしても活用し、2028年までに100名のDX人材を養成する方針だ。

機密情報の運用ルールを満たし、
管理者負担を軽減するデジタルツールでDXを加速

鹿児島県に3つのキャンパスをもち、9つの学部と9つの大学院研究科を有する鹿児島大学。学生数は学部生と大学院生を含めて1万人以上であり、南九州の最高学府として多くの優れた人材を世に送り出してきた。

近年ではICTの積極活用によるDXにも力を入れており、2022年には「鹿児島大学DX推進方針」を策定し、教育、研究、地域、医療、管理の学内全域でデジタル化を進める方針を打ち出した。取り組みは着実に成果を上げており、管理部門ではクラウド型の業務アプリ開発システムなどを導入してDXを推進している。しかし、順調な取り組みの一方で、ボトルネックとなる課題にも直面していた。情報推進部情報基盤課システム開発室の朝廣征男氏は、その課題について説明する。

「ここ数年ほど、私が所属するシステム開発室のメンバーを中心に、クラウドサービス型のローコード開発ツールを導入し、各種管理業務のデジタル化を推進してきました。しかし、DX推進環境を完成させるには一つの課題が残っていました。それは、本学の運用ルールにおいて、個人情報などの機密性の高い情報をクラウドサービスに保存する際に、事前に利用届出等の手続きを必要とすることです。このため、導入済みのローコード開発ツールでは、人事系の申請業務等、機密性の高い情報を取り扱う業務をデジタル化することに一定のハードルがあり、オンプレミスにも対応している製品でDX推進環境を補完する必要がありました」(朝廣氏)。

さらに、DX化を推進するリソースにも課題があった。朝廣氏が室長を務めるシステム開発室のメンバーの中に専任者は配置されておらず、若干名の担当者が本務の傍ら、何とか時間を捻出して対応している状況であった。人事系、財務系、学務系等の既存のシステムを安定的に運用しつつ、新たなシステムの導入と一層のDX推進を行うにはシステム開発室のメンバー以外の力を借りる必要があった。こうしたなかで、鹿児島大学はオンプレミス製品、かつ他部門のメンバーを導入作業に巻き込む「市民開発」を実現できるシステムを求めた。

市民開発を可能にする諸要件をもとに13製品を比較
管理者が増大しても運用しやすい楽々Webデータベースを選定

新たなシステムの導入を決めた鹿児島大学は、13製品を比較検討し、6製品のトライアルを実施した。そのなかから、部門メンバーによる開発が実現可能であるかの観点で、機能や操作性を評価した。加えて、市民開発を実施した場合に懸念事項となるユーザ数に対する料金体系にも重点を置いた。市民開発を実現するには開発アプリの管理者が増大しても比較的安価に運用できる料金体系でなければならない。また、既存の運用ルールに適した形でシステムを展開するためにも、オンプレミス製品であることが欠かせなかった。

認証基盤であるShibbolethとの相性の良さも重要だった。鹿児島大学はShibbolethで、学生及び教職員の認証を管理する鹿児島大学ID認証基盤を構築・運用している。新たなシステムを導入するうえで、この認証基盤と連携し、運用できることも必要な条件だった。

こうした要件のもと、策定された仕様書に対する見積競争を経て、楽々WDBの導入が決定した。楽々WDBはクラウド版とオンプレミス版の双方を提供しており、オンプレミス版は料金体系も同時接続ユーザ数による課金で高いコストパフォーマンスが発揮できることが、見積競争における優位性につながった。

その後の導入プロジェクトにおいて、特に工夫を凝らしたのが導入プロセスだった。ゆくゆくは市民開発による管理コスト削減を目指していた鹿児島大学だったが、導入当初から各部署にアプリ開発権限を開放すれば、管理者不在の野良アプリの乱立による混乱や、既存のアナログ的手法の業務を精査しないまま、非効率なデジタル化が進む恐れがあった。そこで、導入当初はシステム開発室のメンバーが中心となり、自部門の業務を優先してデジタル化することで、楽々WDBに対するナレッジを蓄積することとした。その後、他部門とコミュニケーションをとりながらその他の業務をデジタル化していく方針をとった。この方針は功を奏し、導入プロジェクトの後押しとなる。事実、市民開発を担う他部門のメンバーの間でも、この導入方針は好評だったと総務部人事課福利厚生係の宮川真紀氏は話す。

「これまで、私たちが管理者としてシステムを利用することはなく、当初は楽々WDBにもハードルの高さを感じていました。しかし、システム開発室のメンバーが当課を訪れ、実際の業務や申請書の様式を確認しながら少しずつデジタル化を進めてくれたため、システムへの理解はかなり進展しました。また、その際には、既存の紙の帳票の無駄な項目などを指摘してくれ、より最適化された形で業務をアプリ上に移行できました。デジタル化だけでなく、既存業務を効率化する意味でも、有効な取り組みだったと思います」(宮川氏)。

特性にあわせてシステムを棲み分け、DXをさらに加速
楽々Webデータベースで100種類以上のアプリを開発

現在、鹿児島大学では、紙の帳票業務やグループウェアで運用していた申請業務が楽々WDBに移行されている。また、従来のクラウドシステムでは難しかった機密情報を取り扱う業務のデジタル化については、楽々WDBがShibboleth認証基盤に対応したオンプレミス環境を提供することで実現した。この結果、鹿児島大学では、情報共有にはグループウェアを、市民開発された業務アプリや機密性の高い情報を扱う業務には楽々WDBを、それ以外には既存のクラウドサービスを利用する体制が確立されている。これにより、全学の業務をカバーするDX推進環境が整備されたといえる。さらに、現在は楽々WDBを用いて100種類以上の業務アプリを運用しており、今後も市民開発によるアプリの増加が見込まれている。楽々WDBの導入拡大にあわせて、大学内のさまざまな領域で効率化効果が生まれている。その状況について、総務部人事課福利厚生係係長の瀬脇淳氏は説明する。

「当課では任意継続組合員に関する申請書を、楽々WDBを活用してデジタル化しています。これは教職員が退職後の2年間、教職員組合員に在籍時とほぼ同様の給付や福祉サービスを受けるための申請書です。以前は各学部の事務局窓口に紙の申請書を提出し、受け取った事務局員がさらに当課にその申請書を提出していました。回付や保管には手間がかかりますし、受け取った申請書を業務システムに入力する必要がありました。現在では、これらの申請書は楽々WDBによりアプリ化されたため、電子データとして簡単に提出でき、自動で回付・保管がされますし、転記作業なども不要になりました。さらにアプリ化したことで月額の概算額を自動で表示できる機能も追加できました。こうした効率化や自動化の効果は多くの部門が実感していると思います」(瀬脇氏)。

実際に、鹿児島大学では会議の報告事項を共有するアプリや教職員の体調チェックを行うアプリなど、幅広い業務に楽々WDBが適用されている。今後、市民開発の拡大により、現場業務のデジタル化が進むことで、ますますの業務効率化が期待されている。

人事課が所管する共済組合に関する申請書。
人事課が所管する共済組合に関する申請書。
従来は、紙の帳票で運用され、回付や保管、転記などに多大な手間が費やされていた。
画像①「体調チェック表」アプリ
画像②「共有ToDo」アプリ
コロナ禍をきっかけに開始された教職員の体調チェック表(画像①「体調チェック表」アプリ)。
これに加え、教職員のタスク状況を可視化する一覧表(画像②「共有ToDo」アプリ)も作成されるなど、業務管理にも楽々WDBが活用されている。

継続的なハンズオンを通じて、市民開発をさらに加速
楽々Webデータベースを活用して100名のDX人材養成を目指す

楽々WDBの導入と並行して、鹿児島大学は各部門へのハンズオンセミナーを実施している。今後も継続的に開催し、市民開発の範囲を拡大する方針だ。さらに、同大学はこの取り組みを通じて、新たな目標を目指している。

「現在、本学では2028年までに100名のDX人材の養成を目指しています。その人材育成ツールとして楽々WDBの活用を開始しています。本製品はノーコードツールですが、アプリ開発に伴ってITに関する知識やスキルを学べますし、業務の棚卸やデジタル化を通じたDXコンサルティングの経験を積むことができるなど、良い教材になります。こうした取り組みを通じて、教職員のデジタルスキルを全体的に向上させていきたいと思っています」(朝廣氏)。

全学的なDXの実現を目的に楽々WDBを導入した鹿児島大学。現在は人材育成の手段としても楽々WDBを利用している。今回の導入を通じて構築されたDX体制を、これから養成されるDX人材たちがどのように活用していくのか。今後のさらなるデジタル変革が期待される。

情報推進部
情報基盤課
システム開発室
朝廣 征男 氏
総務部
人事課
福利厚生係 係長
瀬脇 淳 氏
総務部
人事課
福利厚生係
宮川 真紀 氏

国立大学法人鹿児島大学のホームページ

※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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