ITマネジメントによる業務効率化の重要性
成功させるコツとは
企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)や、業務効率化を目的とした新システム・ツールの導入などが珍しくなくなり、日本のビジネス現場においてもIT化が進みつつあります。
そのような中で重要性を増しているのが「ITマネジメント」という考え方です。
当記事ではITマネジメントの概要や重要性が増す背景、ITマネジメントを成功させるためのコツなどを解説します。
目次
ITマネジメントとは
ITマネジメントとは、名前の通り「企業のITに関するさまざまな管理のこと」です。
明確な定義はないものの、「アナログな環境のIT化(ITの導入)を進めること」より、「企業がITをうまく活かすには、どうすべきかを検討すること」という意味合いが強くなっています。
ITマネジメントの対象の例は次のとおりです。
- 企業の経営戦略にマッチしたIT環境の構築
- ITシステム・ツールを活用し、業務効率化につなげる方法の立案・検討・実行
- ITに関する内部組織・外部組織のマネジメント全般
- IT環境やITに関する業務プロセスの中長期的な維持・管理
- IT資産に関するセキュリティ全般
- IT人材の育成・採用(スキル習得、リテラシー向上)
ITマネジメントによって業務効率化を進める重要性
企業はITマネジメントを適切に維持・運用を行うことで、業務の効率化につながります。具体的なメリットは次のとおりです。
- 外部からの攻撃やヒューマンエラーなどによるIT資産の破損・流出などを防ぎやすくなる
- ITシステム・ツールを用いた業務フローが洗練化され、効率よく使えるようになる
- IT人材の成長による新規プロジェクトの実施や新システムの導入などがスムーズになる
このようなITマネジメントによる業務効率化は、年々重要性を増しています。以下では、ITマネジメントが重要視されつつある背景をみていきましょう。
IT資産の管理が増え続けているから
情報化社会の浸透が世界各国で進む中、ビジネス上でもITを活用した商談や販売、開発、情報交換が行われるケースが増えています。その結果、企業が管理すべきIT資産も増加しました。
IT資産とは、ITに関する有形・無形の資産全般のことです。
パソコン、タブレット、周辺機器、サーバ、アプリケーション、セキュリティソフト、企業の機密情報、データ化したナレッジ・ノウハウ、顧客情報など、ITに関するあらゆるハードウェア・ソフトウェア・その他データが該当します。
近年では破損・流出すれば致命的な事故や信頼性の低下などにつながる、重要なIT資産を取り扱う企業も珍しくありません。
そのため企業はITマネジメントの運用によって、IT資産を外部からの攻撃や内部のヒューマンエラー、自然災害などのさまざまな脅威から守る必要があります。
ITの適切な導入・運用が必要だから
日々進化を続けるIT技術ですが、取り扱うのはあくまで人間です。仮にITマネジメントが組織の中で浸透しておらず、適切な運用・管理ができない人材ばかりの企業だと、優れた機能を持つITシステムや管理体制ですら宝の持ち腐れになります。
高性能なITシステム・ツールを活用するには、「ITを適切に活用できる人材やルール」を管理・育成するための、適切なITマネジメント体制の構築・運営が必要不可欠です。
とくに、基幹システムのような大規模かつ重要なITを導入する際は、特定の部署や担当者だけでなく、企業全体で取り組む姿勢が大切になります。1人でもITに強い人材を増やせるかによって、導入プロセスや導入後の効果的な運用ができるかが変わります。
システムや組織体系を導入して終わりではなく、導入後に「どうすれば効率よく活用できるのか」を考える体制を整えておきましょう。
ITマネジメントを効率よく実施するコツ
ITマネジメントを効率よく実施するには、「自社のITマネジメントレベルを把握する」「組織・人材の育成に力を入れる」の2点を意識しましょう。
自社のITマネジメントレベルを把握する
自社のITマネジメントがどのくらいのレベルにあるかを分析・把握しておくことで、ITに関する自社の問題点の洗い出しや改善内容の立案などを、効率的に行えるようにします。
最低限把握すべき内容は次のとおりです。
- 自社の現状のITマネジメントは、具体的にどれくらい実施できているか、足りていない部分はどこなのかを把握する
- 目標とするレベルを明確化する
- 目標とするレベルに達するために必要な対策を立案・実施する
自社のレベルを適切に把握するには、評価ポイント細分化が重要です。
「システム導入・運用レベル」「保守・活用のレベル」「セキュリティレベル」など領域ごとの現状をチェックし、目標値を決定していきましょう。
組織・人材の育成に力を入れる
適切なITマネジメントを実行するには、導入したITシステム・ツールの有効的な活用や、構築したITマネジメント体制の正しい運用などができる、ITに強い組織・人材の育成が必要です。
ITに関する技術力やIT戦略に関する知識、自分から積極的に改善を進めていくリーダーシップなど、IT組織・人材にとって必要とされる知識・スキルの習得機会を増やしましょう。
従業員が身に付けるべきITマネジメントスキルについては、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が作成した「情報システムユーザースキル標準」が参考になります。この資料は、経営戦略の視点からITに関係する組織や人材に求められる知識・スキルを体系的にまとめた資料です。
「情報システムユーザースキル標準」では、ITマネジメントに必要とされるものを「IT戦略のPDCA」と「共通機能」の2つに分けています。
IT戦略のPDCA
さまざまな企業の業務改善に用いられるPDCAサイクルは、ITマネジメントにおいても重要な考え方となっています。IT戦略に関する「Plan(計画・策定)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(見直し)」で構成されています。
このPDCAサイクルを、さらに細かく6つに分けた主要機能が次のとおりです。
Plan
- 事業戦略とIT戦略のマッチング:自社事業の戦略にIT戦略を反映させる
Do
- システム導入:ITシステムの構築・導入を実施する
- システム運用:導入したITシステムを維持・運用する
Check
- 戦略実行マネジメント:IT戦略の実現ができているかのモニタリングを実施する
Act
- 活用と保守:ITシステムをより効率的に活用する
- IT戦略実行評価:IT戦略の実行について評価、フィードバックを行う
共通機能
共通機能とは、IT戦略におけるPDCAサイクルのいずれにおいても、共通して関与する機能のことです。組織として、最低限必要なものとされています。具体的には次のとおりです。
- ITインフラ管理
- 情報セキュリティ
- 事業継続
- 内部統制
ITマネジメントの実行にはIT資産管理ツールが有効
企業のITマネジメントを適切に実行し、業務効率化を達成するには、自社の課題を解決できるITシステム・ツールの導入が効果的です。
例えば従業員の出退勤を管理できる「勤怠管理システム」や、営業の進捗管理を支援・管理する「SFA(営業支援システム)」などが挙げられます。
そのような中、ITマネジメントの実行に寄与できるものに関しては、大規模かつ複雑なITインフラを一元管理できる「IT資産管理ツール」の導入がおすすめです。
IT資産管理ツールであれば、IT資産に関する情報や状況を自動的に収集・確認し、さまざまな対応を実施してくれます。
以下では、ITマネジメントの実行にIT資産管理ツールが有効な理由について解説します。
企業のコンプライアンス遵守に寄与する
IT資産管理ツールには、外部端末(パソコンやUSBメモリ)やソフトウェアの接続・起動について制御できる機能が備わっているものがあります。
例えば、「接続許可のないタブレット端末が接続された場合は直ちにネットワークを遮断する」「利用許可のないアプリがインストールされたら起動できなくする」などが実施可能です。
この機能によって、外部の人間によるアクセスや内部の人間による不正行動、ウイルスに汚染された端末でのアクセスなどのヒューマンエラーなど、コンプライアンス違反となる行動を事前に防げます。
セキュリティ強化につながる
IT資産管理ツールは、企業のセキュリティを強化するさまざまな機能を搭載しています。代表的なものは次のとおりです。
- セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)やOSなどの更新状況確認や自動更新
- 操作ログの記録・取得による不正操作の発見
- 外部端末などの接続・利用制限による外部からの脅威への対策
IT関係の作業の業務が効率化できる
IT資産管理ツールによるソフトウェアの自動更新やメンテナンス、問題の検出などを一元管理することで、IT担当者の業務の効率化につながります。
例えば端末ごとの手動での更新作業や、未更新端末の確認作業などにかかる時間・労力の削減が可能です。無駄な作業時間が削減されることで、さらなるITマネジメントの強化やその他の必要業務に人員を割くことができます。
ITマネジメントによる効率化は「MCore」の導入をご検討ください
企業は自社のITマネジメントについて見直すことで、ITに関するさまざまな業務を効率化できる可能性があります。
もしITマネジメントによって業務効率化を進めたいとお考えであれば、弊社住友電工情報システムのIT資産管理ツール「MCore」の導入をご検討ください。「MCore」はITマネジメントのレベルを引き上げる、さまざまな機能を搭載しています。
具体的な機能は次のとおりです。
- インベントリ管理:ウイルス対策ソフト管理やパソコン以外のIT資産の登録・管理・検索機能など
- ソフトウェア配布:ソフトウェアの分配配信機能によるアップデートデータの低負荷配信・適用など
- ソフトウェア資産管理:インストールソフトウェア管理や購入ライセンスの導入数・管理数などの集計機能など
- 操作や接続管理:PC操作ログ管理、外部デバイス制御、使用禁止ソフト起動制御、ネットワーク検疫など
「MCore」については電話でのお問い合わせや資料請求、体験セミナー・ウェビナーへのお申し込みなどが可能です。お気軽にご相談ください。
「MCore」については、以下のコンテンツでもご確認できます。
- 「MCore」の高いスケーラビリティが、規模を問わずゆとりの管理・運用を実現
https://www.sei-info.co.jp/mcore/feature/ - IT資産管理業務を効率化したい
https://www.sei-info.co.jp/mcore/column/efficiency/ - IT資産管理・セキュリティ管理ツール「MCore」を導入いただきましたお客様の事例
https://www.sei-info.co.jp/mcore/cases/
【関連記事】
-
IT資産管理とは
https://sei-info.pulabo.net/mcore/column/it-asset-management/ -
情報リテラシーとは?低いことによる企業のリスクや組織的な対策を解説
https://www.sei-info.co.jp/mcore/column/information-literacy/
【参考文献】
-
一般社団法人情報サービス産業協会「情報システムユーザースキル標準UISS Ver.2.2」
https://www.jisa.or.jp/it_info/engineering/tabid/1135/Default.aspx