SBS東芝ロジスティクス株式会社
海外拠点も一元管理。4,500台のWindows
大型アップデート作業工数を年間約550時間削減
目次
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グローバルなセキュリティガバナンスを再構築
海外拠点含む4,500台のWindows大型アップデート作業工数を年間約550時間削減 -
既存システムではネットワーク負荷が大きく海外拠点の展開も困難
SBSグループ入りを契機にグローバルでの一元化を目指す -
「ネットワーク負荷が少なく、4500台を1サーバで管理できる」が決め手
比較製品のなかでMCoreはすべての項目をクリアし最高評価 -
Windows大型アップデート作業だけで、年間約550時間の工数を削減
ネットワーク負荷は大幅減、デバイス管理もMCoreに運用統合へ - 「ソフトウェア辞書」によるフリーウェア制御でセキュリティ強化を目指す
- SBS東芝ロジスティクス株式会社
グローバルなセキュリティガバナンスを再構築
海外拠点含む4,500台のWindows大型アップデート作業工数を年間約550時間削減
SBS東芝ロジスティクス株式会社は、東芝グループからSBSグループ入りを果たしたのをきっかけに、新体制に適したセキュリティガバナンス再構築のためIT資産管理/セキュリティ管理統合システム「MCore」を導入。同社は従来課題としていた国内外にある複数拠点の一元的なIT資産管理を実現した。さらに、更新プログラム管理やソフトウェアのバージョンアップを大幅に効率化し、業務を止めることなく、かつネットワークに負荷をかけない形でのセキュリティ対策を可能にしている。
既存システムではネットワーク負荷が大きく海外拠点の展開も困難
SBSグループ入りを契機にグローバルでの一元化を目指す
同社は、ITインフラ環境の移行に際して、さまざまな変革に取り組んだ。その1つがIT資産管理だ。10年来利用してきたIT資産管理システムで、セキュリティ対策やインベントリ管理を行っていた。しかし、物流改革推進部インフラ・デジタルテクノロジー担当参事の菊地伸二氏は、世の中を取り巻くIT環境の変化に対する既存システムの機能に不便さを感じることも多かったと振り返る。
「当社では、WindowsをはじめとするMicrosoft社の更新プログラムにWSUSを利用し配信していました。昨今は更新プログラムのサイズが大容量になり、ネットワーク負荷も課題でした。とくに、大型アップデートをはじめとする大容量のソフトウェアのバージョンアップ時には、メディアを作成し全国の拠点に配布していました。こうした作業は非常に手間がかかり、拠点数や規模に応じて数百枚のメディアに書き込んで送付しなければならず、多大な工数を費やしていました。また、当社は国内に加え、中国、アジア、欧米の10か所以上の拠点を有しています。既存システムはグローバル対応の機能は有していたものの、東芝グループでは海外現地法人向けのグローバルITサービスを展開していました。当社の海外現地法人も同サービスを受け、IT資産管理を個々に実施していたため、国内外IT資産の一元管理にはおよびませんでした。」(菊地氏)。
また、同社は既存システムでUSBメモリなどの外部デバイスの制御を行っていたが、その機能がサポート終了となったことから、別のシステムと連携して機能を維持していた。しかし、これにより繋がりのない管理コンソールを操作せざるを得ず、管理コストの増大やシステム運用の煩雑化を招いていた。
こうしたなかで東芝グループからの離脱、SBSグループへの加入が決まる。従来の東芝グループのネットワークから切り離されるため、独自のネットワークを構築し、各種インフラを運用していく必要があった。これを契機と捉え、新たなIT資産管理システムを導入し、グローバルでのIT資産管理の一元化を目指すことに決めた。
「ネットワーク負荷が少なく、4500台を1サーバで管理できる」が決め手
比較製品のなかでMCoreはすべての項目をクリアし最高評価
新たなシステムの導入に向けて、同社は複数の製品をリストアップし、比較検討を実施。比較対照表を作成し、価格や各種機能、海外対応の可否、ネットワークへの負荷などを入念に比較。その結果、選定したのがMCoreだった。
「MCoreの優位性は当社が必要とする機能が備わっていて、それでいてリッチすぎないところだと思います。たとえば、比較した製品のなかには、当社としては不要な機能が数多く搭載されており、ネットワークの負荷やメモリ使用量を増大させそうなものも少なからずありました。その点、MCoreは機能に過不足がなく、ネットワークへの負荷を軽減しながら1サーバでインベントリ管理や更新プログラム管理を行えます。これは当社にとって非常に魅力的であり、選定の大きな決め手になりました。実際に、選定時に作成した比較対照表でも、MCoreはすべての項目をクリアし最高評価を得ています」(菊地氏)。
MCoreの優れていた点として、1サーバで数百台から1万台以上まで管理でき、クライアントPC1台当たりの通信負荷も1日10~30KBと少なくメモリ使用量も3~7MBと非常に小さいことを挙げていた。また、標準機能に加えPC操作ログやログ検索などをオプションで選択でき、必要なものだけを利用できる点や英語・中国語に対応している点をふまえ、MCore導入が決まった。
こうして、菊地氏を中心に導入プロジェクトに着手する。同社が管理するPCは海外拠点を含め4,500台以上。菊地氏らプロジェクトメンバーが、各拠点で選任されている情報管理担当者と密にコミュニケーションをとりながら導入を推進した。
ネットワーク負荷の軽減を喫緊の課題とし、MCoreの教育プログラムによる運用定着化支援を受け、約3か月という短期間でMCore導入を完了させる。既存システムではグローバルでIT資産管理を一元化できなかったこともあり、菊地氏らには以前から情報管理担当者とコミュニケーションをとる習慣が根付いていた。こうした部門間の関係性が後押しとなり、導入プロジェクトを円滑に推進できた。
Windows大型アップデート作業だけで、年間約550時間の工数を削減
ネットワーク負荷は大幅減、デバイス管理もMCoreに運用統合へ
現在、同社は海外拠点を含む4,500台のPCをMCoreで管理している。時差によりリアルタイムのサポートが困難なアメリカなどの一部拠点は適用外だが、それ以外のほぼすべての拠点にMCoreを適用し、IT資産管理を一元化した。こうした変化により生まれた効果は目覚ましいと菊地氏は説明する。
「更新プログラム管理やソフトウェアのバージョンアップに要する手間は大幅に削減されています。たとえば、既存システムには更新プログラムを配信する機能はなく、WSUS経由で配信していました。そのため、回線が細い拠点や管理台数の多い拠点ではネットワークへの影響が大きく、業務システムに支障が発生するなどの問い合わせが相次いでいました。現在では、MCoreの分散配信機能でネットワーク負荷を大幅に低減し自動で更新プログラム配信を実施できています。実際に、MCoreの導入以降、更新プログラム配信などによりネットワークが遅くなったなどの問い合わせは受けていません。また、以前はメディアで配布していたソフトウェアもネットワークを介して配信できています。Windowsの大型アップデートに伴うISOファイルの配信だけでも、年間約550時間の工数削減を実現しました。更新のたびに300枚以上のメディアに書き込みをする作業も不要になり、業務効率化の効果は計り知れません」(菊地氏)。
さらに今は、デバイス制御の機能も展開を進めている。コンソールの並立により管理コストが増大していたが、MCoreに統合することでUSBメモリや外付けHDDなどの接続を1つのコンソールで管理・制御できる。さらに管理対象をグローバル規模に拡大できるようになり、管理業務の効率化、セキュリティ強化も期待できる。
「ソフトウェア辞書」によるフリーウェア制御でセキュリティ強化を目指す
今後、同社はMCoreの機能をさらに活用し、より強固なセキュリティ体制をグローバル規模で構築したいという。そのなかで、現在、検討しているのがフリーウェアの制御だ。その展望を菊地氏は語った。
「近年、世界中でマルウェア感染の事例が後を絶ちません。海外に拠点を有する企業は、グローバル規模で体制を強化し、セキュリティインシデントを防ぐ必要があります。そうした際にフリーウェアの扱いは1つのポイントになります。当社では、会社として利用を許可したフリーウェアをホワイトリスト化、セキュリティ上危険と判断、利用禁止としたものをブラックリスト化し、従業員に周知してきました。既存システムではブラックリストの検知はできたものの、それ以外は従業員のモラルに依存し、定期的に導入されているソフトウェアの棚卸が必要でした。しかし、世の中のフリーウェアは星の数ほどあり、ホワイトリスト、ブラックリストだけでは網羅できず、それ以外のグレーなソフトウェアの統制に苦慮していました。国内外4,500台のPCにインストールされているソフトウェアから、フリーウェアだけを抽出する作業工数だけでも膨大になります。MCoreは、『ソフトウェア辞書』機能を活用して導入されているソフトウェアが辞書にヒットすれば、有償ソフトウェアとフリーウェア、ドライバーソフトに判別できます。日本人では理解しにくい中国語のソフトウェアもヒットすれば判別できます。今後は、こうした機能を積極的に活用しながら、より強固なセキュリティ体制を効率よく築いていきたいと考えています」(菊地氏)。
SBSグループの仲間入り後、未開拓の分野に物流ソリューションの提供を開始。現在は営業戦略の強化やデジタル技術の導入を通じて、世界各国に事業の裾野を広げていく方針だ。同社の世界戦略を支える基盤としてMCoreが重要な役割を果たしている。
SBS東芝ロジスティクス株式会社
- 設立 : 1974(昭和49)年10月1日
- 本部所在地 : 〒160-6125 東京都新宿区西新宿8-17-1住友不動産新宿グランドタワー25階
- 事業内容 :
SBS東芝ロジスティクス株式会社は1974年に東芝グループの物流機能を担う会社として設立。2020年に筆頭株主がSBSホールディングス株式会社に変更となり、SBSグループ入りした。以降は、物流委託サービスの「3PL」を手がけ、グループ外の企業にも物流サービスの提供を開始。さらに、近年では、3PLに加え物流戦略の提案などを行う「4PL」のソリューション構築に向けて取り組みを加速させている。
物流改革推進部
インフラ・デジタルテクノロジー担当
参事
菊地 伸二氏