大日本印刷株式会社

豊田通商株式会社

グループ全体で次世代ワークフロー基盤を構築

「脱Notes」を楽々Framework3と楽々WorkflowIIで実現
グループ全体で次世代ワークフロー基盤を構築

トヨタグループの総合商社である豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は、2001年からNotesを活用し、約400のアプリを運用していたが、「脱Notes」を目指し、楽々Framework3と楽々WorkflowIIを同時に導入した。従来、Notesを利用していた電子決裁システムを含む複数の機能を、楽々Framework3と楽々WorkflowIIで構築した新たなワークフロー基盤へ移行。これにより、同社は長年の課題であった「脱Notes化」を達成し、承認スピードの30%向上やモバイル対応の実現など、多岐にわたる導入効果を得ている。

サポート終了目前のワークフロー基盤のリプレイスを決定
「脱Notes化プロジェクト」を組成し、新たな基盤構築へ

トヨタグループの総合商社である豊田通商は、世界約130カ国にネットワークを展開し、モビリティ、メタル、サーキュラーエコノミー、サプライチェーンなど、幅広い事業を展開している。同社は1922年に東部アフリカにおける綿花の輸入を開始して以来、100年にわたりアフリカ事業にも力を入れてきた。2017年には、初の地域を軸にした営業本部「アフリカ本部」を設置し、さらに事業を加速させている。

こうした長い歴史の中で、豊田通商は常に新たな事業を生み出し、組織変革を続けてきた。その変革の姿勢は情報システムにも表れている。同社は2024年、20年以上利用していたNotesを廃止し、ワークフロー基盤および各種アプリのリプレイスを実施した。Notesで運用していた約400のアプリの機能を新たなシステムに移行し、効率化と利便性の向上を目指した。この取り組みについて、IT戦略部コーポレートIT戦略グループの岩井瑠美氏は次のように説明する。

「当時、2001年から運用してきたNotes(v9.0.x)のEOSL(メーカーによるサポート終了)を見据えて当社においても対応を迫られていました。このままNotesをバージョンアップして使い続けるか、それとも新たなワークフロー基盤やシステムに移行するのか。選択に悩むところではありましたが、当時はスマートフォンやWeb会議ツール、電子押印システムなどが次々と導入されている時期であり、これを機に「脱Notes化」に踏み切る決断をしました。こうして2019年に「脱Notes化プロジェクト」が立ち上がり、ワークフロー基盤の導入に向けて動き出したのです」(岩井氏)。

さらに、岩井氏は「モバイル対応」が脱Notes化を推進する大きな要因になったと話す。当時、豊田通商で使用していたNotesではモバイル対応がされておらず、外出先での申請や文書の作成は困難だった。この不便さを解消するためにもシステムの刷新が必要だった。

「脱Notes」を楽々Framework3と楽々WorkflowIIで実現
全社一体となって進めたNotes廃止プロジェクト

脱Notesにあたり、豊田通商はまずプロジェクトの方針をまとめた。既存のNotesでは20年以上の運用を通じて約400のアプリが構築されていた。これらの機能をすべて単一のワークフロー基盤やシステムに移行するのは現実的に難しい。そのため、プロジェクトでは機能を分割し、複数のワークフロー基盤やシステムに分散して移行する方針が決定された。

このとき、Notesで運用されていた電子決裁システムなどの移行先として選定されたのが楽々Framework3と楽々WorkflowIIだ。この2製品を連携させ独自のワークフロー基盤を構築し、運用を目指した。

楽々Framework3と楽々WorkflowIIの導入イメージ

楽々Framework3と楽々WorkflowIIが選定された理由として、岩井氏は「充実した機能」を挙げる。

「Notesで運用していた電子決裁システムは何度も改修を施しており、極めて複雑な仕組みになっていました。そのため、選定にあたっては、複雑な仕組みをそのまま移行できることを重視したのですが、その要件を最も満たしていたのが 楽々Framework3と楽々WorkflowIIでした。たとえば、楽々WorkflowIIであれば、複雑な組織構造や承認経路を再現できますし、部門間をまたぐ申請にも対応しやすいです。既存のアプリの機能を損なうことなく、業務フローを維持したままNotesを移行できる点が魅力でした」(岩井氏)。

楽々Framework3を導入することで、楽々WorkflowIIの充実した標準機能をさらに拡張できる。また、楽々WorkflowIIにはモバイル対応機能や多言語機能が標準で備わっていることも選定の理由だった。モバイル対応は当初からの目標であり、画面の英語化も欠かせない要件だった。豊田通商には外国籍の役員も在籍しており、外国人従業員も就業しているため、標準機能で英語画面を表示できる楽々WorkflowIIは非常に魅力的な製品だった。

製品選定後、豊田通商は実際の移行作業に着手。移行にあたっては、岩井氏が所属するIT戦略部を中心にプロジェクト体制を構築し、移行する各アプリの所管部門をプロジェクトに巻き込み、管理側とユーザ側が一体となって取り組みを推進した。とくに、電子決裁システムは、所管部門である経営企画部や法務部との調整は慎重に行われたが、事前の体制づくりが功を奏し、取り組みは着実に進行していった。

こうして豊田通商は、プロジェクト開始から22か月で楽々Framework3と楽々WorkflowIIを連携させたワークフロー基盤を構築。プロジェクトには住友電工情報システムも開発ベンダーとして参画しながら、その後、電子決裁システムの開発などを進め、2024年についにNotesの廃止を実現した。

脱Notesにより申請業務の承認スピードが30%向上
モバイル対応も実現し、より利便性の高い業務環境が確立

現在、豊田通商はかつてNotesで運用していた複数のアプリを、楽々Framework3と楽々WorkflowIIを連携させたワークフロー基盤上で構築している。その一つが電子決裁システムである。このシステムはNotesの主要システムであり、年間5,000件にも及ぶ申請が処理されていた。それを現在は、楽々WorkflowIIをメイン画面に据え、アドオン処理を楽々Framework3で行う形で再構築した。従来のNotesで実現していた複雑なワークフローの仕組みも再現されている。その具体的な例について、岩井氏は次のように説明する。

「たとえば、承認経路の設定です。当社では決裁区分によっては、所定の承認者以外に申請の関連部署に申請書を回付しています。以前、この承認経路は申請書作成時に自動設定されていましたが、現在もその機能を維持しています。具体的には、利用者が経路の選択で迷わないよう、楽々WorkflowIIの標準機能である条件分岐機能に加えて、楽々Framework3のアドオン開発により、決裁者を管理する決裁区分と関連部署を管理する協議部署をマスタ化しました。申請者が、決裁区分を申請画面から選択することにより、申請金額と決裁区分に紐ついた関連部署から承認経路が自動設定される仕組みを構築しました」(岩井氏)。

運用されている電子決裁システム

また、従業員が業務改善を提案する改善提案システムは、楽々Framework3をメインに画面を開発し、ワークフロー部分を楽々WorkflowIIで構築している。このシステムを活用し、豊田通商の従業員は定期的に業務改善提案を行っている。さらに、同時に導入されたエンタープライズサーチ「QuickSolution」により、全社で過去の改善提案を迅速かつ容易にキーワード検索できるようになり、各部署が他部門の成功事例やノウハウを活用することで、業務改善の取り組みが組織全体で加速した。

こうしたシステム移行によって数々の導入効果も生まれている。たとえば、電子決裁システムの機能性が向上し、起案から決裁完了までのスピードは約30%向上した。決裁完了スピードの向上は意思決定のスピードを加速させ、組織運営をより迅速にする。また、当初の目標であったモバイル対応が実現し、画面表示の英語対応も実装された。これにより、同社では従業員に対して、より利便性の高い業務環境を提供することができている。

導入のポイントはシステムの機能の「いいとこ取り」
今後は開発を継続し、さらなる導入効果を狙う

今後、豊田通商は社内に残存する紙の帳票による申請業務をワークフロー基盤上に移行し、さらなる導入効果を目指している。この取り組みが実現すれば、数万件の申請業務がデジタル化され、業務効率のさらなる向上が期待される。

最後に岩井氏は、今回のプロジェクトのポイントについて次のように語っている。
「今回のプロジェクトでは、楽々Framework3と楽々WorkflowIIの機能の「いいとこ取り」ができたと思っています。電子決裁システムは楽々WorkflowIIを中心に構築し、その他の業務アプリは楽々Framework3を中心に開発しています。それぞれの役割を分担しつつ、柔軟に機能を連携させたことで、多様なアプリを効率的に構築できました。これから楽々Framework3と楽々WorkflowIIを導入する企業には、まず両者の機能を見極め、適材適所で活用していくことをおすすめします」(岩井氏)。

Notesを廃止し、新たなワークフロー開発基盤を獲得した豊田通商。今後はグループ会社にも利用範囲をひろげ、さらなる飛躍を計画している。

豊田通商株式会社
IT 戦略部
コーポレートIT 戦略グループ
岩井 瑠美 氏
豊田通商株式会社様のホームページ ※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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