学校法人東邦大学

学校法人東邦大学

大規模組織の申請業務を電子化

係長級メンバーを旗振り役にペーパーレス化を推進
市民開発により大規模組織の申請業務を電子化し、
大幅な決裁期間の短縮、経費削減を実現

大学、大学院、付属中・高等学校、3付属病院、2クリニックを運営する学校法人東邦大学(以下、東邦大学)は、長年にわたって課題視されていた紙の稟議書をペーパーレス化するため、楽々WorkflowIIを導入。意欲的な係長級メンバーを中心にしたプロジェクトチームが導入を牽引し、各部門の担当者が申請書の作成などを行う市民開発を推進している。これにより、東邦大学では稟議書のペーパーレス化を実現し、決裁に要する時間を従来の1/3程度に短縮した。さらに、楽々WorkflowIIによる経費節減効果は550万円/年にものぼっているという。

紙の稟議書が業務効率を低下させ、意思決定の遅滞の要因に
重要な申請は、決裁までに1か月を要することも

2025年に創立100周年を迎える東邦大学は、医学、薬学、理学、看護学、健康科学の5学部10学科を擁する自然科学系総合大学。付属中・高等学校を運営するほか、医学部付属の「医療センター大森病院」を含め、3付属病院、2クリニックを有する。建学の精神「自然・生命・人間」に基づき、長年にわたって教育、研究、医療の幅広い領域で社会貢献を続けてきた。

近年、東邦大学が注力しているのがDXだ。社会全体のDXが加速するなかで、教育研究機関としても、医療機関としてもアナログな体制からの脱却が求められている。東邦大学では医療現場から学生に提供する教育コンテンツまで、幅広い領域でデジタル化を推進してきた。

楽々WorkflowIIの導入も、その一環に位置付けられる。導入のきっかけとなったのは、紙の稟議書。従来、東邦大学では組織全体で紙の稟議書を用いており、その運用にはいくつかの課題があった。当時について、法人本部システム部部長の逸見真恒氏は説明する。

「以前、当大学では、付属中・高等学校や病院を含むすべての部門で紙の稟議書を用いていました。運用としては、申請内容を入力し、承認欄が印刷された表紙を添付して回付するのですが、記載内容や粒度が統一されていなかったり記載ミスがあったりと、その是正のため多くの時間が費やされていました。もちろん、回付は書類を持ち運ぶ形で行うため、物理的な移動にも時間がかかります。その結果、1件の稟議書が決裁される期間は平均で10日と長期化していました。さらに重要な内容の申請ともなれば、もっと時間を要してしまいます。例えば、病院で医師を採用する際などには、当該病院の院長の他、他の病院の院長や病院を所管する医学部長、法人本部、理事長など数多くの承認を得なくてはいけないため、決裁までに1か月を費やすこともありました」(逸見氏)。

東邦大学の組織図
東邦大学の組織図。
学部などの部門が複数設けられているほか、医学部付属の病院を設けるなど、複雑な組織構造を有する。

「市民開発の促進」を目的に、
幅広い部門からメンバーを招聘
ベンダーの導入支援が後押しになり、
「閲覧権限の壁」を乗り越えた

こうした状況を受けて、東邦大学は2022年にワークフローシステムの導入を決める。導入にあたって、同大学はプロジェクトチームを組成。稟議書を所管する総務部を中心に、逸見氏らの所属するシステム部や人事部、財務部など、幅広い部門からプロジェクトメンバーを招聘した。

この取り組みには、主に二つの狙いがあった。一つ目が「承認ルートの把握」。従来、東邦大学では、決裁種別や内容、起案部門等により承認ルートが無数に存在していたため、ワークフローシステムの導入にあたっては、それら部門の既存の承認ルートを把握しなければならなかった。プロジェクトメンバーが幅広い部門から招聘されたのはこのためだ。もう一つが、「市民開発の推進」。東邦大学の教職員数は約5,000名にものぼる。大規模かつ複雑な組織でワークフローシステムを導入し、ペーパーレス化を推進するには、各部門がシステムの開発や保守を担うのが効率的だった。そのため、プロジェクトメンバーが各部門で市民開発する体制をとった。

プロジェクトチームを組成した東邦大学は、次いで製品の選定に移行する。選定の際に重視したのは「操作性の高さ」と「大組織に適した料金体系」。特に後者については、東邦大学は多数の教職員を擁するため、ユーザ課金の場合には導入費用が莫大に膨れ上がってしまう。こうした要件を踏まえて、同大学は楽々WorkflowIIを選定する。楽々WorkflowIIはプログラミング不要で申請書の作成や修正を行えるなど操作性に優れているうえに、料金体系がCPUライセンスのため、大規模組織でも安価かつ効率的に導入が可能だ。

こうして楽々WorkflowIIの導入を決めた東邦大学が、導入にあたって注力した点として、法人本部システム部の近藤元氏は「権限管理」を挙げる。稟議書には機微情報を記載することが多いため、稟議書の回付をシステム上に移行するうえで、閲覧権限の設定は重要なポイントだった。

「例えば、人事関係の申請の際には、個人情報を記載する場面が少なくありません。導入時には、こうした情報を保護するための工夫をいくつか加えています。具体的には、プラグイン開発オプションを活用し、特別な閲覧権限を設定する申請書に限定して、クラウドストレージとの連携を実施。機微情報を含む文書を申請書に添付し回覧する時点で、文書をクラウドストレージ上に移管し、承認者のみアクセスできる仕組みを構築しました。さらに、クラウドストレージ側で閲覧制限やダウンロード制限を行っているため、機微情報の持ち出しもできないようにしています。この仕組みはベンダーからの提案で実現したのですが、導入時にはこうした支援や情報提供を数々受けられ、とても心強かったのを覚えています」(近藤氏)。

さらに、プロジェクトチームは独自の操作マニュアルを作成するなどして、各部門のシステムへの習熟を後押し。結果として、東邦大学は3か月ほどで楽々WorkflowIIの運用を開始し、その後も着実にシステムの定着を進めていった。

決裁までの期間は1/3に短縮され、
550万円/年の経費が節減
「無駄な作業は削減する」という
組織文化の醸成にも大きく貢献

現在、東邦大学では楽々WorkflowIIにより、稟議書の完全ペーパーレス化が実現。記載する項目や内容、粒度が統一され、記載ミスも大きく減少した。加えて、楽々WorkflowIIの導入にあたって、申請の目的ごとに申請書を分類。現在は39種類の申請書を9キャビネット39フォルダに分類して運用している。これにより、ユーザは目的に合わせてキャビネットを選択し、申請書を作成すればよいため、書類作成に要する手間は大幅に削減された。

楽々WorkflowIIのキャビネットのイメージ図
楽々WorkflowIIのキャビネットのイメージ図。
従来は分類されていなかった稟議書を目的ごとに分け、9個のキャビネットで保管している。

こうした稟議書のペーパーレス化による効果は大きいと近藤氏は述べる。

「まずは、決裁に要する時間が大幅に短縮されたことです。従来は、稟議書1件につき平均で10日を要していましたが、現在では4日に短縮され、1/3程度になっています。さらに、費用対効果も大きく、稟議書がペーパーレス化されたことにより、用紙の印刷費や書類の持ち回りに費やされる人件費が削減され、約550万円/年の経費が節減されています。この調子で経費が節減されれば、導入費用の回収もそう遠くないと見込んでいます」(近藤氏)。

さらに、楽々WorkflowIIの導入は組織文化の変革にも寄与している。従来、東邦大学では慣習的に稟議書が作成・回付されていたため、本来は不要な記載や回覧、資料の添付が常態化していた。しかし、楽々WorkflowIIの導入により、これらの作業が省略され、承認経路などが可視化されたことで「無駄な作業はできる限り削減する」という意識が、教職員間に根付きはじめたという。こうした意識の変化は、今後、さらなるデジタル化を進めるうえで、大きな武器になるはずだと近藤氏は語る。

プロジェクト成功の肝は「プロジェクトチームの人選」
係長級メンバーを効果的に活用し、DXの実現を

楽々WorkflowIIの導入が成功した要因について尋ねると、逸見氏は「プロジェクトチームのメンバーが最大の肝でした」と述べる。

「プロジェクトチームを組成する際には、意図的に係長級をメンバーに招きました。傾向として、係長級は業務改善への意欲が高く、組織の状況や文化にも精通しているからです。それが功を奏し、今回の導入ではプロジェクトチームのメンバーが各部門へのハブ役として重要な役割を果たしてくれました。これから楽々WorkflowIIを導入する企業や団体の皆さんも、ITやシステム開発の知識よりも、変革への意欲や組織への理解を重視してチームを編成することをおすすめしたいです」(逸見氏)。

今後、東邦大学は楽々WorkflowIIの適用範囲を拡大し、組織内の通知文書のペーパーレス化などに取り組む方針だ。DXの実現に向けて加速する東邦大学を、楽々WorkflowIIが強力に後押ししている。

学校法人東邦大学
法人本部 システム部
部長 逸見 真恒 氏
学校法人東邦大学
法人本部 システム部
近藤 元 氏
学校法人東邦大学様のホームページ ※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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