キリンホールディングス株式会社
グループ全域でペーパーレス化を実現し在宅勤務体制を構築
目次
- キリングループ約40社、約15,000人に、約8か月間で楽々WorkflowII導入を完了 グループ全域でペーパーレス化を実現し、在宅勤務体制を構築
- 在宅勤務体制を確立するためワークフローシステムの導入が決定 経営層から求められたのは「迅速な導入」
- 140の選定要件を最も多く満たした楽々WorkflowII グループ各社に運用担当者を配置し、迅速なシステム展開を実現
- 楽々WorkflowIIによるペーパーレス化が在宅勤務制度の維持に貢献 オフィスワーク部門に加え、現業部門でも導入効果が表れている
- 今後はeラーニングなどを利用しながらグループ各社の活用を促進 システムの適用範囲を広げ、さらなる導入効果の引き上げに取り組む
キリングループ約40社、約15,000人に、
約8か月間で楽々WorkflowII導入を完了
グループ全域でペーパーレス化を実現し、在宅勤務体制を構築
国内ビールメーカーの草分け的存在であるキリンビール株式会社をはじめ、170社以上のグループ会社を傘下にもつキリンホールディングス株式会社(以下、キリンホールディングス)。同社は、コロナ禍における在宅勤務体制を構築するため、ワークフローシステムの導入によるグループ全域でのペーパーレス化を推進。楽々WorkflowIIの操作性の高さや画面設計のしやすさなどを活かすことで、導入をスピーディーに進め、約8か月間で、キリングループの約40社、従業員約15,000人にワークフローシステムを展開した。グループ全域でペーパーレス化が推進され、「原則在宅勤務」の体制が構築された。
在宅勤務体制を確立するためワークフローシステムの導入が決定
経営層から求められたのは「迅速な導入」
ビールなどの酒類を製造・販売するキリンビール株式会社、清涼飲料を製造・販売するキリンビバレッジ株式会社など170社以上の国内外グループ会社を傘下に収め、グループにおける経営戦略の舵取りを担うキリンホールディングス。同社は、「よろこびがつなぐ世界へ」をスローガンに、人々の食と健康を支え、誰もがすこやかに生き生きと暮らせる豊かな社会の実現に尽力してきた。2019年からは長期経営構想「KV2027」をスタートし、既存事業領域の「食」や「医」に加え、プラズマ乳酸菌を使用した機能性表示食品の開発・販売拡大を加速させるなど、ヘルスサイエンス領域の事業拡大を進めている。
キリンホールディングスでは、2020年7月から「『働きがい』改革 KIRIN Work Style 3.0」をスタート。目的に合った働き方・働く場所を主体的に選択し、生産性・創造性を高めるとともに、ペーパーレス化やコミュニケーションツールの導入などの環境整備を推進している。その取り組みの一環として採用されたのが、楽々WorkflowIIだった。キリングループの情報システムを担うキリンビジネスシステム株式会社のグループ共通システム統轄部ワーキングスタイル変革G 井関 顕也 氏は、原則在宅勤務を実現するためにはワークフローシステムの導入が必要不可欠だったと振り返る。
「コロナ禍を受けて、弊グループでも在宅勤務への移行が進みましたが、当時はまだまだ紙の帳票による申請承認業務が多く残っており、各所で『申請承認のために出社』というケースがしばしばありました。メールに移行した申請承認業務についても、承認者が見落とすこともあり、組織運営の効率を落としていました。こうした状況を課題視した経営層は、グループ全体の申請承認業務のデジタル化を進めるため、ワークフローシステムの導入を決定しました」(井関氏)。
ワークフローシステムの導入にあたって、経営層が最優先事項として掲げたのは「出来る限り、迅速な導入」。コロナ禍により社会全体が大きく変化するなかで、新たな環境への早急な適応が求められていた。経営層からの指示を受けた井関氏らのプロジェクトチームは、至急体制を整え、ワークフローシステムの選定に取り掛かった。
140の選定要件を最も多く満たした楽々WorkflowII
グループ各社に運用担当者を配置し、迅速なシステム展開を実現
選定にあたって、井関氏らプロジェクトチームは、必須要件50項目を含む140項目の選定要件を策定。それらの要件に照らし合わせて、ワークフローシステムを抽出したところ7製品がリストアップされた。さらに、そのなかから「導入のスムーズさ」を基準に3製品を選び出し、最終検討を実施。その結果、最も高いコストメリットが期待できた楽々WorkflowIIが選定された。比較検討時の試算によれば、楽々WorkflowIIの場合、毎月約400件以上の申請に利用できることでランニングコストの回収が見込めたという。また、導入に先立って実施されたPoCでは、直感的にわかりやすいGUIによる楽々WorkflowIIの操作性が高く評価され、選定を後押しした。
2021年1月、プロジェクトチームは楽々WorkflowIIの導入を開始する。導入では、迅速な運用開始に焦点を当てた数々の取り組みが進められた。たとえば、楽々WorkflowIIの運用基盤にはクラウドを採用し、システムの早期展開によるデータ容量の急増にも対応できるインフラ環境を整えた。また、システムの展開にあたっては、プロジェクトチームが各グループ会社のワークフローや申請書を設定するのではなく、グループ各社に担当者を設置し、担当者が自社の業務環境にあわせて申請書を作成する手法を採った。現在、楽々WorkflowIIの運用保守を担当しているキリンビジネスシステム株式会社グループ共通システム統轄部ワーキングスタイル変革G 志賀野 健 氏は、こうした体制の構築が、迅速な展開を実現するうえで重要だったと指摘する。
「弊グループのような大規模な組織にシステムをスムーズに展開し、効率よく運用していくためには、最初に決める運用体制や運用ルールがとても重要になります。実際に、現在、私を含めた2名で楽々WorkflowIIのヘルプデスクを担当しているのですが、リソースが不足したことはありません。これは、導入当初から各グループ会社に担当者を設け、ワークフローや申請書の設定、エンドユーザからの問い合わせ対応などの役割を委譲していたからこそ、可能になったのだと思います。楽々WorkflowIIの導入を検討している大規模組織の方には、導入時の体制・ルール作りに最も注力することをお勧めします」(志賀野氏)。
そのほか、志賀野氏は楽々WorkflowIIの操作性の高さもスムーズな導入を後押ししたと話す。SQLやプログラミングなどの専門的な知識を備えていなくても、申請書の画面やワークフローを設定できる楽々WorkflowIIの機能は、グループ各社に運用の一部を切り出すうえで有効だった。さらに、プロジェクトチームはグループ各社に自作の操作マニュアルを共有したほか、ベンダーの協力を受けたハンズオンのオンライン講習会を開くなどして、担当者のシステムへの習熟度を高めていった。
2021年8月、プロジェクトチームはグループ各社へのシステム展開を完了し、楽々WorkflowIIの運用を開始する。導入開始から約8か月間という、極めて短期間による導入プロジェクトだった。
楽々WorkflowIIによるペーパーレス化が在宅勤務制度の維持に貢献
オフィスワーク部門に加え、現業部門でも導入効果が表れている
現在、キリングループの約40社、従業員約15,000人に楽々WorkflowIIを提供している。申請数は導入後から右肩上がりに増加し、直近では月間600件以上にのぼる。この数は、当初、設定していた目標値の約1.5倍にあたり、導入時の想定を大きく上回っています。
また、ペーパーレス化の効果も見逃せない。キリングループはコロナ禍以降も原則在宅勤務を維持したが、その体制の構築には楽々WorkflowIIによるペーパーレス化が大きく貢献している。さらに、2022年6月、グループ本社オフィスがリニューアルされ、フリーアドレスの新オフィスがスタートしたが、同オフィスでは原則100%のペーパーレス化が推進されている。こうした環境を整備するうえでも、楽々WorkflowIIは重要な役割を果たした。このオフィスで勤務するメルシャン株式会社マーケティング部 齋藤 正子 氏は、楽々WorkflowIIによるペーパーレス化の効果を強く実感していると話す。
「私の部署では9種類の申請書が電子化され、申請数の多い申請書では月間50件以上がペーパーレス化されています。以前は、紙の帳票を起案して、承認者の押印を受けるために帳票を回覧するのが当たり前でしたが、現在はその手間は一切不要です。今後は、ワイン工場が本社に送付するワインの製造方法などを記したテクニカルシートを、承認者が申請内容を更新できる機能などを活用して電子化し、ペーパーレス化の範囲をさらに広げていきたいと考えています」(齋藤氏)。
さらに、楽々WorkflowIIの導入効果はオフィス部門だけでなく、工場などの現業部門にも及んでいる。静岡県御殿場市のウイスキー蒸溜所で勤務するキリンディスティラリー株式会社の企画総務部 高村 仁 氏は、工場における楽々WorkflowIIの導入効果を説明する。
「弊社では、製造ラインの作業記録を記載する『工程判定表』という帳票を電子化しています。工程判定表は頻繁に使用される帳票で、2022年1月から7月までの間に800件ほど申請されているのですが、楽々WorkflowIIは代理承認の機能を備えており、製造ラインのチームリーダーが不在のときでもサブリーダーが承認できるので、滞ることなく申請業務を行えています。そのほかにも、作業記録をデータとして蓄積できるのが大きいです。工程判定票の記録は、お客様から問い合わせを受けた際などに見直すことがあるため、データとして即座に検索できるのはとても便利です」(高村氏)。
今後はeラーニングなどを利用しながらグループ各社の活用を促進
システムの適用範囲を広げ、さらなる導入効果の引き上げに取り組む
楽々WorkflowIIのグループ各社への提供を終えたキリンホールディングスは、今後、システムの活用促進を図り、導入効果の引き上げを狙う。住友電工情報システムが提供するeラーニングなどを活用しながら、グループ各社の習熟度を高め、システムの適用範囲を拡大していく構えだ。
楽々WorkflowIIの迅速な導入を実現し、瞬く間に1.5万人規模への提供を実現したキリンホールディングス。そのスピーディーなプロジェクトを支えていたのは、プロジェクトチームによる緻密な導入戦略と、迅速な導入を可能にする楽々WorkflowIIの多彩な機能群だった。
キリンビジネスシステム株式会社 グループ共通システム統轄部 ワーキングスタイル変革G
井関 顕也 氏/志賀野 健 氏
キリンディスティラリー株式会社 企画総務部
高村 仁 氏
メルシャン株式会社 マーケティング部
齋藤 正子 氏