学校法人常翔学園

学校法人常翔学園

年間約1万件にも及ぶ紙ベースの稟議書を電子化

楽々WorkflowIIで年間約1万件の稟議書を完全ペーパーレス化
市民開発を活用し、遠隔地を含む学園全体に適用範囲を拡大

大阪と広島で大学、中学校、高等学校を運営する学校法人常翔学園(以下、常翔学園)は、年間約1万件にも及ぶ紙ベースの稟議書を電子化するために楽々WorkflowIIを導入し、稟議書の完全なペーパーレス化に成功した。これにより、遠隔地からの郵送や数十人に及ぶ承認者の押印などの非効率な業務を大幅に削減。加えて、適用範囲をさらに広げるために市民開発を展開し、各拠点や各部門で申請書を作成できる体制を築き上げ、ペーパーレス化を全学園レベルで推進した。

大阪、広島にまたがる拠点間で紙の稟議書を郵送し、申請業務を実施
年間約1万件もの稟議書が大きな業務負荷に

大阪府大阪市に学園本部を置き、大阪工業大学、摂南大学、広島国際大学、常翔学園中学校・高等学校、常翔啓光学園中学校・高等学校を運営する常翔学園。学園全体の学生・生徒数は約2万6,000人、教職員は約1,700人。2022年10月には創立100周年を迎え、次なる100年に向けた2037年までの長期ビジョン「J-Vision37」を策定した。

新たなビジョンのもと「選ばれる学校」としてさらなる質向上を目指す常翔学園だが、そのたゆまぬ姿勢はデジタル化の取り組みにも現れている。同学園は2017年に既存の情報システム部門の組織を改変し、学園本部にICT連携機構を設置。同機構が各拠点の情報システム部門を統括し、各種システムの統制や集約を行う体制を確立した。現在も業務システムの集約などを推進し、より効率的なシステム環境の構築に向けて取り組みを進めている。さらに、2019年には「働き方改革推進室」を設置し、業務オンライン化に向けた検討会を発足。アナログな業務を刷新し、次世代型の働き方の確立にも注力している。

そのなかで、焦点が当たったのが紙の稟議書だった。従来、常翔学園では紙の稟議書で数多くの申請業務を包括しており、それがさまざまな課題を生む要因になっていた。当時の課題について、ICT連携機構部長の正司久博氏は振り返る。

「最も大きな課題は、紙の稟議書を回付する手間でした。当学園は大阪市、寝屋川市、枚方市に加え、広島県にも拠点を構えています。これらの拠点間で稟議書をやり取りし、ハンコで承認を受けるために要する手間や時間は膨大でした。特に手間がかかったのは、全学校長の承認が必要な稟議書です。各拠点で勤務している学校長の承認を受けなければいけないため、一つの稟議書をすべての拠点に順番に郵送していました。その際に稟議書に押印されるハンコは30~40個。今考えても、一つの稟議書を決裁するために多大な手間と時間が費やされていたのだなと感じます」(正司氏)。

当時、作成されていた稟議書の数は年間約1万件。その回付にまつわる手間や時間は看過できない量に膨れ上がっていた。さらに、2020年に到来したコロナ禍により、常翔学園ではいち早いリモートワーク体制の構築も求められた。こうしたなかで、同学園は稟議書のペーパーレス化に取り組みはじめる。

大学での導入実績が多い楽々WorkflowIIを選定
仮想ユーザなどの各種機能を活用し、複雑な組織構造を再現

稟議書のペーパーレス化にあたって、常翔学園が最初に行ったことは、すでに導入しているグループウェアがもつワークフロー機能を活用できるかどうかの検討だった。

しかし、そのグループウェアのワークフロー機能は簡素であり、代理承認などの機能を有していなかった。常翔学園では理事会などの会議体が承認権限を担うことがあるなど、複雑な承認権限や承認ルートを設定する必要がある。そうした組織にとっては、既存のグループウェアのワークフロー機能は不十分であり、ワークフローに特化したシステムが求められた。

ワークフローシステムの導入を決めた常翔学園は、複数の製品を選定し、比較検討を実施する。操作性や各種機能、価格など、複数の観点で製品を評価。なかでも、特に重視したのが大学などの教育機関での導入実績だった。常翔学園の担当者は大学におけるワークフローシステムの導入状況についてリサーチしたり、複数の大学の情報システム部門に問い合わせて、ワークフローシステムに関する意見聴取を行ったりした。その際、とある大学の担当者に「ワークフローシステムはベンダーの支援がとても重要」とアドバイスされたのが選定の決め手になる。比較検討していた製品のなかで、最も充実した支援が期待できたのは楽々WorkflowII。製品の製造元は大阪にも拠点を有し、システムの導入に関しても地元ベンダーから手厚い支援が期待できた。さらに、楽々WorkflowIIには代理承認など、複雑な組織構造にも対応できる数多くの機能が備わっていた。こうして、常翔学園は楽々WorkflowIIを選定し、稟議書のペーパーレス化に向けた取り組みを開始する。

システムの開発にあたって、楽々WorkflowIIの導入を担当したICT連携機構係長の吉田克哉氏は、次のように話す。

「稟議書はほぼすべての部門が利用する申請書のため、楽々WorkflowIIはカットオーバーの時点で全学展開する必要がありました。全学展開となると、対象者とその承認ルートがかなりの数になります。特に大学の場合は、教員ルートと事務職員ルートの2系統で展開されるので、より多様なルート設定が必要になります。その際に重宝したのが、仮想ユーザ機能と承認経路設定の柔軟性です。仮想ユーザ機能は、パターン化できる経路を一つにまとめることで効率的な経路設定ができます。さらに楽々WorkflowIIの承認経路設定は、業務ごとに権限を設定することで必要に応じて経路設定をユーザに開放できます。この2つを使うことで、開発を効率化できました。」(吉田氏)。

2021年10月から開始した導入作業は順調に進み、翌年の3月にはカットオーバーに至る。こうして常翔学園は長年の課題であった稟議書のペーパーレス化を実現した。

年間約1万件の紙の稟議書の完全ペーパーレス化を実現
さらに市民開発を推進し、各部門主導で60以上の申請書もペーパーレス化

現在、常翔学園では150以上のほぼすべての部署、ほぼすべての教職員が楽々WorkflowIIを利用している。具体的には、従来利用していたグループウェアのホーム画面に楽々WorkflowIIのガジェットを表示し、そこから申請書の作成や承認業務を行う。慣れ親しんだUIで楽々WorkflowIIを利用できるため、ユーザたちはシステムの操作を難なく習熟していった。

常翔学園のグループウェアのUI
常翔学園のグループウェアのUI。同一画面内に楽々WorkflowIIを組み込むことで、ユーザへのシステムの定着を促した。

これにより、常翔学園では稟議書の完全ペーパーレス化が実現。年間約1万件にも及ぶ稟議書はすべてシステム上で承認されるようになった。それに伴い、従来、膨大な手間を費やしていた郵送や回付の手間はほぼゼロに削減されている。

さらに、注目すべきはその後の展開だ。常翔学園は稟議書の取り組みを足がかりに、その他の紙の申請書のペーパーレス化も推進。ICT連携機構のメンバーで、各部門の担当者向けに申請画面作成に関するハンズオンセミナーを実施し、市民開発でペーパーレス化を推進できる体制構築に取り組んだ。この過程について、吉田氏は説明する。

「ハンズオンセミナーは2022年末から翌年夏にかけて計9回実施。これにより、各部門の担当者が自らの手でペーパーレス化を推進できるよう目指しました。その結果、本部および各設置学校で60種類を超える申請書が自発的にペーパーレス化されています。その一つが教職員からの寄付を募る申請書です。以前、教職員から寄付を受ける際には紙の申請書を作成していましたが、現在では楽々WorkflowIIで申請を行い、給与・賞与引き去りで寄付を受け付けています。こうしたペーパーレス化の事例は多くの拠点に広がりつつあり、手応えは十分です。事実、私たちの日常業務でも紙の書類を用いる機会はめっきり減っています」(吉田氏)。

教職員から寄付を受け付ける際の申請書
教職員から寄付を受け付ける際の申請書。楽々WorkflowIIで申請を行い、給与・賞与引き去りで寄付を受け付けている。

目標の達成率は「100%」
今後は学生が利用する申請書の電子化に挑む

これまでの取り組みを振り返って、正司氏は「当初の目標は100%達成できました」と話す。今後目指すのはさらなる活用範囲の拡大だ。

「今後は学生も利用する申請書もペーパーレス化できればと考えています。学生は教職員用のグループウェアを利用できないため運用に工夫が必要ですが、楽々WorkflowIIの充実した機能を活用すれば実現も不可能ではないはずです」(正司氏)。

稟議書のペーパーレス化を皮切りに、市民開発を通じて楽々WorkflowIIの効果を全学に波及させた常翔学園。そのデジタル化の波はさらに広い範囲に及ぼうとしている。同学園のさらなる運用の高度化に期待したい。

学校法人常翔学園
ICT連携機構
部長 正司 久博 氏
学校法人常翔学園
ICT連携機構
係長 吉田 克哉 氏
学校法人常翔学園様のホームページ ※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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