株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
「見える化」「時間短縮」「費用の削減」を同時に実現
目次
金融機関の稟議書・帳票の電子化を楽々WorkflowIIで実現
業務工数を削減し、業務の効率化、ペーパーレス化を推進
福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域にネットワークを有する広域展開型地域金融グループのふくおかフィナンシャルグループでは、働き方改革プロジェクトの一環としてICTを活用したペーパーレス化を推進していた。「楽々WorkflowII」の導入により、文書回付の可視化や時間短縮、コスト削減を実現し、さらにグループ会社を横断したやりとりも可能となった。
「シングルプラットフォーム」戦略で業務やシステムの統合を推進
働き方改革プロジェクトでワークフロー導入によるペーパーレス化が加速
ふくおかフィナンシャルグループは、九州を地盤として地域経済発展への貢献により人々の生活を豊かにするとともに企業価値向上を目指す総合金融グループである。
2007年4月に福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現熊本銀行)の持株会社として誕生し、半年後の10月には長崎を拠点とする親和銀行も加入。福岡県、熊本県、長崎県において、地域の顧客に古くから親しまれてきた各行の歴史やブランドを維持しながら、事務・システムや商品・サービスをグループ全体で共通化して、3つの銀行をあたかも一つの銀行のように運営する「シングルプラットフォーム・マルチブランド」を設立当初より基本的な経営スタイルとしていた。
設立から3年間は、事務・システム統合や店舗統廃合といった経営インフラの整備に取り組み、その後にはその経営インフラを徹底活用しながら経営スタイルの確立を進めてきた。さらに、2019年4月には十八銀行がグループに加入し、現在4つの銀行を傘下に持つ地域金融グループとなっている。なお、2020年10月には同じ長崎県内に本店を置く親和銀行と十八銀行が合併して、十八親和銀行になる予定である。
そのような折、2016年11月、「働き方改革プロジェクト」が立ち上がり、その柱の一つとしてICTを活用したペーパーレス化がテーマとなった。当時はすでに十八銀行との経営統合の話が出ており、同行がすでにワークフローを導入してペーパーレス化を進めていたこともあって、ペーパーレス化への動きがさらに加速することになった。
将来的には1万5千人のユーザーが利用することを想定
ノンカスタマイズで早期導入・稼働が可能な「楽々WorkflowII」を選定
ワークフロー製品の選定にあたっては6製品を比較検討し、選ばれたのが住友電工情報システムの「楽々WorkflowII」であった。地方銀行としてはファーストユーザだったが、短期間での導入・運用開始が可能であること、十八銀行がグループに入るとユーザー数が1万5千となるため大規模での稼働実績が豊富なこと、さらにコストなども勘案したうえで、導入を決定した。導入検討の際は、将来のワークフロー製品のバージョンアップをスムーズに進めるため、製品をカスタマイズしない方針としていたが、「楽々WorkflowII」がカスタマイズなしでもほぼすべての業務をカバーできることも採用の大きな理由となった。
1,802文書のスリム化と「業務の断捨離」を実施
フェーズ別実施により短期立ち上げを実現
導入をスムーズに進めるため、導入前にふくおかフィナンシャルグループが取り組んだのがシステム化する文書数の削減だ。まずは、既に使われていない不要文書を削減した。次に従来の施策であるシングルプラットフォームを強化して、3銀行の共通文書の拡大を実施。この2つの施策と同時に、働き方改革の追い風を利用して、既存の業務に対して「業務の断捨離」を行い文書を削減した。
当時3行あわせて1,532の文書(内3行共通の文書は67)、ふくおかフィナンシャルグループと関連会社をあわせると1,802の社内文書が運用されていたが、このスリム化により3行の文書数は1,008に削減された(内3行共通の文書は179に拡大)。ふくおかフィナンシャルグループと関連会社も同様のスリム化を実施して、トータル1,183の文書を対象に「楽々WorkflowII」による電子化作業を進めることとなった。
実際の導入では電子化実現のスピードを最優先するために、まず第1フェーズとして「楽々WorkflowII」のパッケージで処理が完結するものを対象に、2017年10月の稼働開始を目指して導入をスタートした。システム開発が伴う他システムとの連携が必要な文書に関しては第2フェーズとして検討することとした。
導入作業は役員を最高責任者とする8つのグループからなるワーキング体制で進められた。85名に対し研修を実施し、選任された各行、各部の担当者がそれぞれ「楽々WorkflowII」に文書フォームや承認経路を登録していった。9月からテストに入り、9月27日の試行テストを経て、予定通り2017年10月16日に4社(ふくおかフィナンシャルグループ・福岡銀行・熊本銀行・親和銀行)の本部から本番稼働がスタートした。ワーキング立ち上げから約6か月である。そして、11月には福岡銀行、熊本銀行、親和銀行の各営業店に展開した。
「見える化」「時間短縮」「費用の削減」を同時に実現
十八銀行や関連会社のワークフロー統合も視野に
「楽々WorkflowII」導入の大きな効果として挙げられるのが「見える化」「時間短縮」「費用の削減」の3つだ。
「楽々WorkflowII」導入と同時に、社員が利用するイントラネットのトップ画面上に「楽々WorkflowII」のステータス画面を表示するようにしており、これにより承認依頼の有無や、発信した文書のステータスをリアルタイムで見える化している。紙ベースでは回付状況が見えなかったのはもちろん、文書が行方不明になったり、止まってしまっていたりしたが、この見える化により文書の所在が一目瞭然となった。
次に時間短縮の効果だ。例えば文書を回覧すべき関係部署が複数あるときには、紙ベースではそれぞれの部署を順番に回付する必要があった。「楽々WorkflowII」では複数部署に並行して文書を回付できるため回付時間の大幅な短縮が可能。ふくおかフィナンシャルグループでは本部稟議1件あたり約50分の削減効果があると試算した。同様の試算で営業店稟議1件あたりの時間短縮を40分とすると、グループ全体で年間2万4613時間の削減効果があるとしている。
実際に「楽々WorkflowII」を導入して1年4ヶ月間の実績データを紐解くと、稟議開始3日後までの決裁が全体の8割を超え、すべての本部稟議の決裁期間を平均すると1.9日という計算になった。組織としての意思決定が大幅にスピードアップしているのだ。
そして、費用の削減としては、今回のペーパーレス化による工数削減を含む働き方改革全体の成果として、残業時間の大幅な削減が実現できたという。もちろん、用紙や印刷費も削減できた。
その他の効果として利便性向上がある。例えば、従来、兼務者がシステムを利用する場合、該当業務の銀行のイントラネットに個別にログインする必要があった。新システムではマルチバンク対応として、一つのシステムの中にふくおかフィナンシャルグループとグループ3行のデータを格納し、ユーザーのアクセス権限を判定してどの銀行のデータにアクセスできるかをコントロール。兼務の人がどの銀行のイントラネットにログインしても、自分に届く文書がすべて含まれた同じワークフロー画面が表示されるようになり、利便性が大きく向上した。
なお、ふくおかフィナンシャルグループでは「楽々WorkflowII」と同時に文書管理システム「楽々Document Plus」も導入している。文書の発行後2年間は「楽々WorkflowII」にデータを保管し、「楽々Document Plus」では文書の種類ごとに保管期間を設定し、法律で義務づけられた保管方法に対応している。
現在、「楽々WorkflowII」はふくおかフィナンシャルグループとグループ3行に導入されており、予定していた1,183文書すべてを電子化して紙ベースの文書を廃止すべく作業が続いている。さらに、経営統合した十八銀行とのシステム統合が2021年1月に予定されており、同行のワークフローシステムを「楽々WorkflowII」に統合するための検討を進めている。
※本事例中に記載の社名や、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。