株式会社ジャパンセキュリティプロモーション
楽々Webデータベースで警備業法に規定された書類をデジタル化
書類作成時間が5分の1に削減され、立入検査への対応も容易に
東京都板橋区に本拠を置く警備会社の株式会社ジャパンセキュリティプロモーション(以下、JSP)は、毎月300枚以上作成していた教育実施簿をデジタル化し、既存の管理業務を効率化するため楽々Webデータベースを導入。警備業法で規定された教育実施簿をスマートフォンで作成できる体制を構築し、書類作成に要していた時間を約5分の1に短縮した。これにより、同社では管理業務を担う指導教育責任者の業務負担が削減されたほか、行政の立入検査にもスムーズに対応できるようになった。
目次
毎月300枚以上発生する教育実施簿が業務負担の要因に
立入検査の対応を効率化するためにも、新たな手法を模索していた
1986年(昭和61年)に東京都板橋区で設立したJSP。東京都を中心とした一都六県で施設警備や交通誘導警備などの警備事業を展開している。2020年には横浜に拠点を置くKSPグループに参加し、活動の幅を広げている。
近年、同社が取り組みを進めているのがDXだ。警備業界はアナログな文化が根強く、紙の帳票や電話を用いた業務も多い。その一方で、少子高齢化に伴う人手不足や従業員の高齢化の問題は加速しており、業務効率化や省人化は業界全体が抱える喫緊の課題となっている。
こうしたなかで、JSPは各種システムの導入によるDXを着実に推進。たとえば、現場の警備にあたる社員(以下、隊員)は直行直帰で勤務することが多いため、業務効率化を進めるうえでは、時間や場所を問わず報告などを行える体制が欠かせない。そこで同社は、勤怠システムや経費精算システムを導入するなど、システム導入を通じた管理業務の効率化に積極的に取り組んでいる。
楽々Webデータベースの導入も、こうした取り組みの一つだった。デジタル化の対象になったのは教育実施簿という書類。本社業務本部長の根岸妥臣氏は、教育実施簿に伴う業務の非効率さに長年頭を悩ませていた。
「教育実施簿とは、警備業法に定められた隊員への指導教育の内容や結果を記録する書類です。隊員への指導教育は年度末に翌年度の年間スケジュールを作成し、毎月1回全隊員に実施します。指導教育を実施するのは指導教育責任者の資格を有する8名の社員です。つまり、8名の指導教育責任者で毎月約300名の隊員に面談形式で指導教育を実施して、教育実施簿を作成するのですが、これに伴う業務負担は決して少なくありませんでした。現場は各地に点在していますから、指導教育責任者は1日に何か所もの現場を回らなくてはいけません。
さらに、その後には本社に戻り、教育実施簿を作成するのですが、その作業に要する時間も多大でした。指導教育責任者は現場から直帰することがあるので、翌日にまとめて作成作業を行うこともあり、業務負荷の要因になっていました」(根岸氏)。
作成された教育実施簿は、選任指導教育責任者が本社で印刷・保管を行い、原則年1回の警察による立入検査時に開示する必要がある。立入検査は1週間ほど前に実施日を告知されるため、各種書類は常に適切な形で保管し、開示に備えておかなければいけない。こうした立入検査にスムーズに対応するには、従来の方法はあまりに非効率だった。
根岸氏は、20年ほど前から指導教育の効率化を模索していたが、なかなか答えが見つからずにいたという。一時はRPA(Robotic Process Automation)を導入し、報告メールからのテキスト抽出により転記作業の効率化を目指したが、定着の難しさなどを理由に断念していた。
シンプルな機能を評価し、楽々Webデータベースを導入
スマートフォンで教育実施簿を作成できる仕組みを構築
こうしたなかで、JSPは楽々Webデータベースにたどり着く。きっかけは、根岸氏が訪れた、とある展示会でのことだった。楽々Webデータベースの操作性やUIのわかりやすさに好感を抱いた根岸氏は、複数の競合製品との比較検討を実施。結果、楽々Webデータベースが最もよい評価となり、導入を決める。
決め手になったのは設定のシンプルさだった。他の競合製品は操作や設定が複雑でシステムの定着に不安が残った。その点、楽々WebデータベースはExcelと操作性が共通しているほか、ノーコードでのアプリ作成も可能だ。さらに、必要な機能は網羅していて、価格も競合製品に比べて安価であったことも選定のポイントになった。
楽々Webデータベースの導入を決めたJSPはアプリ作成に移行する。一刻も早く運用開始すべく、ベンダーの協力を得ながら教育実施簿のひな形を取り込み、指導教育責任者に配布しているスマートフォンで入力できる体制を築いた。システムの構築は短期間で完了し、導入開始から1か月ほどで運用開始に至る。さらに、本社業務本部の武藤珠氏は定着もスムーズだったと話す。
「日頃からスマートフォンを使い慣れていることもあり、特に説明をしなくても指導教育責任者全員が難なく楽々Webデータベースを使いこなしていました。電車などでの移動中やちょっとした空き時間にスマホで簡単に書類を作成できる点が指導教育責任者から高く評価されていました」(武藤氏)。
「書類作成のための移動」が不要になり、業務負担が大幅減
システム上でのデータ確認も可能になり、立入検査への対応もスムーズに
現在、JSPでは指導教育の実施方法が大きく改善されている。以前は、指導教育責任者が各現場で面談を実施したのちに本社に戻って教育実施簿を作成しなければいけなかったが、現在では楽々Webデータベースのアプリを通じて、いつでも・どこでも作成可能になった。
また、PC端末やファイルを立ち上げることなく、手元のスマートフォンから直接入力できるため、書類作成に要する時間も5分の1程度に削減されている。これにより、指導教育責任者たちは現場や移動中に教育実施簿を作成できるようになり、業務負担が大幅に軽減した。
「根岸氏は、楽々Webデータベースの導入は指導教育責任者の実績報告業務だけではなく、選任指導教育責任者の業務効率化にも大きく役立っていると話す。
「選任指導教育責任者は、毎月の指導教育の進捗状況を記録するため専用の管理帳票を用いているのですが、以前は面談と教育実施簿の作成にタイムラグがあったため、進捗状況を確認するには指導教育責任者に電話で問い合わせる必要がありました。しかし、現在ではほぼ当日に教育実施簿が作成され、選任指導教育責任者は、その内容を楽々Webデータベースでリアルタイムに閲覧できるため、問い合わせは不要になりました」(根岸氏)。
こうした変化を通じて、JSPでは警察による立入検査にも速やかに対応できる体制が築かれた。開示書類が正確かつスピーディーに作成・保管できるようになったことで、より万全の体制で立入検査にのぞめる。根岸氏は「念の為、導入後も教育実施簿を印刷していますが、警察からはシステム上での保存も可能という回答を得ています。今後は立入検査への対応がよりスムーズになると思います」と手応えを語った。
人材募集の業務にも楽々Webデータベースを活用
活用の範囲を拡大し、さらなる業務効率化を目指す
今後、JSPは教育実施簿以外にも楽々Webデータベースを活用していく方針だ。武藤氏は人材募集の業務に楽々Webデータベースを活用したいと語る。
「現在、人材募集は各支社が募集内容などを記載した書類を本社の業務本部に送付し、業務本部が求人票を作成する流れで行っています。しかし、支社の社員は現場に出ていることが多く、書類作成の時間をなかなか確保できないのが実情です。この業務に楽々Webデータベースを活用すれば、時間や場所を選ばずに人材募集の書類を作成できますし、支社の社員の業務負担も減らせるはずです。今後はこうした活用を拡大し、業務効率化の効果をより広い範囲に波及させていきたいです」(武藤氏)。
JSPは今回の導入を同業他社との会合で成果事例として共有しているという。同業他社からの反応は良好であり、楽々Webデータベースに興味を示す企業も多い。人手不足や高齢化など、警備業界が抱える課題は少なくない。楽々Webデータベースは、そうした業界共通の課題解決を助ける力を秘めているのかもしれない。
本社 業務本部 業務本部長
根岸 妥臣 氏
本社 業務本部
武藤 珠 氏