株式会社博報堂ブランドコンサルティング
社内ナレッジの共有
株式会社博報堂ブランドコンサルティング:社内情報検索
ナレッジポータルの実現
高度なデータベース検索システム導入により、ナレッジ共有を強化
株式会社博報堂ブランドコンサルティング(以下、博報堂BC)は、ブランドを軸にマーケティング・経営課題を解決する戦略コンサルティングファームである。設立8年目を迎えた同社は、本格的なナレッジ共有の体制作りに向け、エンタープライズサーチ・システムQuickSolutionを導入した。膨大な社内資料を効率的に検索できる仕組みである同システムは、情報共有の負担を大幅に削減。業務効率を上げるだけではなく、この導入をきっかけに、博報堂BCナレッジ・ポータルとしてデータベースを「見える化」(※図1)することで、スタッフのナレッジ共有への意識を高めることに成功した。
QuickSolution 導入部門:全社
QuickSolution 検索対象:社内文書<導入前>
業務拡大と共に増え続ける膨大な情報を、社内の共有ナレッジとして十分に活用されているとは言いがたい状況であった。
<導入後>
検索システムを導入することで情報探索時間の圧縮はもちろん、情報をナレッジとしてインプットする、アウトプットしシェアするという機会が増加、業務効率の向上とナレッジ活用への社内意識が高まった。
取り組みの背景
博報堂BCは、ブランドに関するマーケティング・経営課題のコンサルティングを行うプロフェッショナル集団として、広告会社が培ってきたマーケティングノウハウと、経営戦略のハイブリッドなサービスを提供している。2001年の設立以来、様々な業界でのブランディングの実績をあげている。第一線で活躍するコンサルタントは、博報堂出身者のほか、戦略系コンサルティング会社出身者など多様なメンバーで構成されている。各メンバーのバックボーンはそれぞれ異なるが、原則として各コンサルタントがプロジェクト全体の責任を負う体制のため、バックボーンを越えた、幅広い知識やスキルがコンサルタントには求められる。プロジェクトでは、生活者に関する膨大な情報の活用はもちろん、クライアント企業のニーズを引き出し、ニーズに合わせてカスタマイズすることが求められる。つまり、クライアントに入り込んで真のニーズを引き出す、タフな仕事となる。バックボーンの異なるコンサルタント間で相乗効果を発揮するためにも、マーケット、企業、生活者に関する情報や、過去のコンサルティングにおけるスキームやその成果物などの情報が迅速に入手できる状況が不可欠であった。
社内検索システムの必要性
従来から「共有フォルダ」には文書や資料が格納され、共有化ははかられていたが、格納されているファイル数は、4万5千件もあり、それらは、共有化するためではなく、あくまでも関係者の保存場所という位置づけが否めなかった。一方、多忙な業務の中、現実的には「共有のファイルサーバに必要最小限のファイルを保管する」というルールを守ることで精一杯であった。キャリアの浅いコンサルタントの場合は、欲しい情報が保存されているのか、あるとすればどこにあるのか、探り当てることに終始することもしばしばで、そこに無駄が発生していた。この問題を解決するために、2008年4月コンサルタント本庄氏が中心になって社内共有サーバ内のデータの整備を行うこととなった。プロジェクトを進める中で、通常のハードな業務と並行しながら、複数のプロジェクトメンバーで共有しつつ頻繁に更新される膨大な文書を、定期的に整理し管理するのは現実的には無理があり、今後の運用も考えると機械じかけでないとできないという結論に至った。本格的な社内検索システムの導入により、欲しい情報がいつでも簡単に入手できるようになることへの期待はもちろん、データ検索のウィンドウをナレッジのポータルと位置づけて必要な情報の所在を「見える化」することで、コンサルタント一人ひとりに蓄積されているナレッジやノウハウを全社で効率的に活用していこうという機運が高まるのではないかと、本庄氏は期待していた。
検索精度の高さと豊富な導入事例が決め手に
社内検索システムの候補に挙がったのは、QuickSolutionを含めて3製品であった。製品選定の中でQuickSolutionを選んだ理由を、情報システムご担当の、計画管理部 井上氏に尋ねると、まず優位性を感じたのは、検索精度の高さと、豊富な導入事例を挙げた。実際に、QuickSolutionのデモストレーションをみて、検索精度が非常に高いことが分かった。他社製品で、検索ロジックの説明が明確でないものもあったが、QuickSolutionは、はっきりしていた。また、絞込み機能や関連語辞書などの機能などを駆使して、やりたいことができる検索システムだと感じたという。さらに、様々な分野でQuickSolutionシリーズの導入実績が豊富であり、さらに、検索システムに必要だと考えていた基本機能(ActiveDirectory連携、あいまい検索など)高いレベルで提供されていると安心感をもったとのことである。その後、井上氏は、QuickSolutionと他社製品の試用版を社内で使用し、比較検討を行った。インストールし、作業をすすめていくと、他社製品との違いがはっきりした。QuickSolutionの製品マニュアルは必要な情報がきちんと網羅されており、マニュアルに従って作業を進めれば、インストールをスムーズに終えることができた。また、サポート体制も充実していた。導入検討時期にもかかわらず、試用版の問合せをしても、技術者がすぐに対応を行ってくれた。純国産で、自社開発製品であるからこそ、このようなサポートが提供できるのだと感じた。このようにして、博報堂BCでは、QuickSolutionの導入を決定したのであった。
社内説明会を終えて、本稼動
導入前の社内説明会を終えて、2008年6月にQuickSolutionの本稼動を迎えた。既存の社内ポータルにQuickSolutionの検索窓が追加された形での運用となった。 QuickSolutionを導入して数ヶ月が経過。検索窓に、思いついた言葉や自然文を入力すれば、すぐに探したいファイルの候補が検索結果として表示されるため、インターネット検索サイトより検索の柔軟性があり、社員の活用頻度も上がっている。
共有フォルダには、改訂する度に改訂版として複数の文書が存在するため、類似文書が検索結果として複数挙がってくることが多いという。 QuickSolutionの「類似文書の集約」の機能は、類似度の高い文書をひとまとめに表示することができるので、自分の探したい文書を探すのに一役買っている。また、検索の有用性が社員の間で広く認知されるとともに、新たに情報を収集したときには、個人持ちにするのではなく、共有フォルダに「公開する」という発想も芽生え始めている。 QuickSolutionの導入により、情報検索の時間短縮はもちろんのこと、スタッフのナレッジ共有意識の向上の意識が高まってきたといえるだろう。
今後への期待
個人が抱える情報を、ナレッジとして積極的に情報開示していくために、博報堂BCでは、さらなる仕組みを検討中である。ナレッジ共有に対する褒賞の見える化としてナレッジフォルダに格納された情報が社員に検索され、その情報が役に立つものであれば、レビューとして「役に立った」と投票するような社員のナレッジ共有へのモチベーションを高める仕組みを構築したいと考えている。自分が提供した書類や文書が「役に立った」と評価されることで、情報を開示したことが精神的に報われるようにしたいのだという。そのためにQuickSolutionによって検索されたファイルが開かれた回数をカウントし、ランキングとして表示できる「アクセスランキングオプション」の導入も検討されている。全社的なナレッジ共有の仕組みを定着させるために、博報堂BCの取り組みは今後も続いていくだろう。
※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。