株式会社群馬銀行

DXを支える基盤を確立

株式会社群馬銀行

チャットボットの活用で電話による問い合わせを大幅削減
銀行業務のデジタル化を推進し、DXを支える基盤を確立

群馬県前橋市を中心に国内外160か所以上の拠点を展開する株式会社群馬銀行(以下、群馬銀行)は、複数のシステムに分散した行内文書の検索性を向上させるため、全文検索システム「QuickSolution」を導入。行内文書の横断的な検索を可能にし、行員による電話の問い合わせ件数を大幅削減した。さらに、同行はオプション機能のチャットボットも活用し、行内業務のさらなる効率化に着手。4か月間で300件以上の電話の問い合わせを削減、全行的な業務のデジタル化を推進し、DXを支える基盤を確立している。

行内文書が分散し、文書検索に多大な時間を浪費
業務生産性の向上を目指して全文検索システムの導入を検討

群馬県前橋市の本店を中心に、東京、埼玉、神奈川、大阪、ニューヨークなど、幅広い地域に拠点網を広げる群馬銀行。県内110か所、県外48か所、海外5か所を展開(2022年4月時点)し、業界内でも高い存在感を誇る。2020年10月には、地域トップバンクによる広域連携の枠組み「TSUBASAアライアンス」に参加し、FinTech推進やシステムの共同化など、営業収益向上に向けた取り組みを加速させている。

2022年4月から開始した中期経営計画では、グループパーパス「私たちは『つなぐ』力で地域の未来をつむぎます」を掲げ、地域・企業・人々を「つなぐ」ことによる新たな価値の創出を目指している。この「つなぐ」を支えるのがデジタル戦略だ。3年間の計画期間を通じて、データ利活用の高度化や組織の変革を進め、顧客接点や行内業務などのデジタル化を推進していく。

2022年4月から開始された中期経営計画では、基本方針として「『つなぐ・つむぐ』の基盤となるデジタル戦略の遂行」を掲げ、全行一体となったデジタル化を推進している

デジタル戦略を経営計画の中枢に据える群馬銀行だが、QuickSolutionの導入は、その先駆的取り組みといえる。同行がQuickSolutionを導入したのは2019年4月。文書検索の効率化を目指しての試みだった。デジタル戦略の推進を担う総合企画部デジタルイノベーショングループの今泉裕之氏は、当時の文書検索の状況について振り返る。

「当行ではファイルサーバやグループウェア、文書管理システムなど、複数のシステムで行内文書を管理していますが、以前は、これらのシステムを横断的に検索できる仕組みがありませんでした。たとえば、支店の行員は、業務上の不明点があった際などに、どのシステムで指定の文書が掲載されているか分からず、その検索に無用な時間を費やすこともありました。必要な文書にたどり着けない場合は、本部に電話で問い合わせなければならず、さらに時間と手間を要してしまいます。支店からの問い合わせには本部の照会部門が対応していましたが、そこでの業務負担も少なくなかったと思います」(今泉氏)。

生産性向上を目指すうえで、問い合わせの削減は欠かせない。とくに、電話による問い合わせは業務生産性の著しい低下を招いてしまう。全行的な生産性向上を実現するためにも、行員の疑問や不明点を自己解決に導く仕組みが求められていた。こうしたなかで、群馬銀行は全文検索システムの導入を検討しはじめる。

地銀8行による連携協定でQuickSolution導入を決定
選定の決め手は「検索性の高さ」と「安価な価格」

2018 年ごろ、文書検索の効率化を目指していた群馬銀行に、ある契機が訪れた。地方銀行の連携協定「フィンクロス・パートナーシップ」が全文検索システムの共同導入に乗り出したのだ。フィンクロス・パートナーシップは、群馬銀行を含む8 行が参加する連携協定。デジタル化の共同推進を目的に締結され、2018年6月には開発・研究の推進組織としてフィンクロス・デジタルを設立している。

全文検索システムの共同導入は、フィンクロス・デジタルを中心に推進された。この取り組みに群馬銀行も参画した。システム選定では複数の製品が比較検討されたが、最も高い評価を得たのがQuickSolutionだった。選定の決め手について、今泉氏は「ポイントは検索性の高さと安価な価格でした。QuickSolutionは完全一致検索のほか、あいまいな文言でも検索できる『類似検索』や、ファイルの種類や更新日時で検索できる『属性検索』など、多彩な検索機能を備えています。文書検索の効率化を実現するうえで、これらの機能は非常に有効です。さらに、他製品はスクラッチと同程度の開発コストが見込まれたのに対して、QuickSolutionは早期かつ安価での導入が可能でした」と解説している。また、選定時に実施されたトライアルでも十分な導入効果が見込まれたことから、群馬銀行を含む6行でQuickSolution導入が決定した。

その後、約6か月間の導入プロジェクトを経て、QuickSolutionの運用が開始される。群馬銀行ではQuickSolutionをグループウェア内に組み込み、「行内文書検索」というメニューから行内文書を横断的に検索できる仕組みを構築した。これにより、文書検索の大幅な効率化が実現。従来、文書検索に要していた時間は短縮され、本部への電話による問い合わせも減少する。必要な文書に瞬時にたどり着ける環境は行内業務の円滑化を促し、サービスの質向上にもつながった。

チャットボットの活用で導入効果のさらなる引き上げに着手
4か月間の効果検証を行い、問い合わせ件数17.7%減を達成

この後、群馬銀行はさらに導入効果を引き上げる取り組みに着手している。QuickSolutionのオプション機能であるチャットボットの導入だ。チャットボットには、高精度なQuickSolutionのAI検索エンジンが搭載されており、定型的な問い合わせへの対応を自動化できる。また、自動回答できない問い合わせも検索画面に誘導することで、ユーザを自己解決に導くことが可能だ。群馬銀行はチャットボットの導入により、電話による問い合わせのさらなる削減を目指した。

自動回答できる問い合わせはチャットボットで対応。自動回答できない問い合わせはQuickSolutionの検索画面に誘導して自己解決率アップ

チャットボットの導入は2021年6月から開始され、約3か月という短期間で運用開始に至った。今泉氏は、シナリオの作成や事前学習などの作業が不要だったことがスムーズな導入を後押ししたと話す。

「QuickSolutionのチャットボットはFAQのテキストを登録するだけで利用できます。プログラミングなどの面倒な作業は不要です。実は、別の業務でルールベースのチャットボットを利用しているのですが、そのシステムはベンダーの力を借りなければFAQの登録ができません。それに対して、QuickSolutionのチャットボットは行内でも運用できます。ベンダーに依頼しなくてもFAQを登録できるため、照会窓口に届いた質問をFAQにフィードバックすることも可能で、問い合わせの削減をさらに進めることができます」(今泉氏)。

早期に導入を終えた群馬銀行は、チャットボットの効果検証に移行。以前から対応件数や応答時間を記録していたPC 操作に関する問い合わせを対象に、2021年9月から4か月間に渡って導入効果を測定した。結果は前年同月比の17.7%減、328件の問い合わせが削減された。チャットボットでの照会件数は月2000件程度の利用があり、電話で問い合わせするほどではない疑問の自己解決にもいたっていると考えられ、今泉氏も「実質的には17.7% 以上の削減効果を感じています」と導入の手応えを語った。

預金や外為の事務処理照会などにもチャットボットの活用を検討
定型業務の自動化を推進し、行内業務の効率化を一気に加速

今後、群馬銀行は預金や外為の事務処理照会など、複雑性の高い業務にもチャットボットの適用を広げていく方針だ。今泉氏は「自動化しても差し支えのない定型的な問い合わせはまだまだ膨大にありますし、定型業務の自動化は、コア業務のリソース確保につながります。今後は自動化に適した業務を見極めながら、チャットボットの適用範囲を広げ、行内業務のさらなる効率化を図りたいです」と、活用の展望を述べた。

顧客接点のデジタル化や中小企業のデジタル化支援など、今後、多種多様なデジタル戦略を推進していく群馬銀行。その実現には、行内業務のデジタル化を推進し、DXを支える基盤の確立が必要不可欠だ。そうしたなかで、QuickSolutionとチャットボットが、新たな目標に向けて躍進する群馬銀行の一翼を担うこととなった。

総合企画部
デジタルイノベーショングループ
今泉 裕之氏
※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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