田中貴金属工業株式会社

工場内に点在していた大量のISO文書を一元管理

工場内に点在していた大量のISO文書を一元管理
品質管理部門がノーコードでスムーズに構築

貴金属の専門集団である田中貴金属グループのなかで、自動車や電化製品などの貴金属部品・材料を製造する田中貴金属工業株式会社(以下、田中貴金属工業)の伊勢原工場では、管理工数の増大や業務効率低下の要因となっていた紙のISO文書をデジタル化するため、楽々Document Plusを導入。既に導入済みの他拠点との情報共有を通じて、ITの専任担当者ではない品質管理部門が適切かつ利便性の高い文書管理体制をノーコードでスムーズに構築した。その結果、工場内の10か所以上に設置していた大量の紙の文書を一掃し、システム上での一元管理を実現した。これにより、同社では業務効率化やきめ細やかな監査対応を実現している。

貴金属地金および各種産業用貴金属製品の製造販売を手がける

精緻な品質管理体制が管理業務の負担に。
ISO文書のデジタル化を推進

1885(明治18)年、両替商として創業した田中貴金属グループ。その中核企業であり、自動車、電化製品、通信機器などに使われる貴金属部品や材料の製造・販売・輸出などを手がけるのが田中貴金属工業だ。国内には15か所以上の拠点を有し、海外にも中国、東南アジア、北米、ヨーロッパ、インド、韓国などに多数の拠点を展開。近年では、クリーンエネルギーやナノ・バイオテクノロジーなどの分野にも進出し、幅広い領域で貴金属製品の可能性を追求している。

田中貴金属工業にとって重要な価値の一つが品質だ。顧客の要求事項を遵守しながら継続的に製品を提供するには、適切な品質管理の体制が求められる。たとえば、白金系素材加工などを手がける伊勢原工場ではISO9001、ISO14001、ISO13485、ISO17025と、4つのISO認証を受けている。

しかし、その一方で、そうした体制は従業員一人ひとりの負担を増やす要因でもあった。とくに煩雑だったのが紙のISO文書の取り扱いだ。その状況について、伊勢原工場品質管理セクションチーフマネージャーの高橋昌吾氏は振り返る。

「以前、当社ではISOの認証取得に必要な文書を、すべて紙の書類で管理していました。具体的には、作業標準や作業基準、マニュアルなどの数千ページの文書をすべて紙に印刷し、リングファイルで保管。さらに、従業員がすぐに取り出して閲覧できるように、同一のリングファイルを工場内の10か所以上の場所に設置していました。そのため、従業員が文書を閲覧する際には、数千ページの書類のなかから必要な文書を見つけ出さなければいけませんでしたし、品質管理の担当者は文書が改訂されるたびに全箇所のリングファイルの書類を差し替えて回らなければいけませんでした」(高橋氏)。

また、紙の書類は監査対応の妨げにもなっていた。顧客やISOの監査の際には頻繁に文書の開示を求められるが、そのたびに複数のリングファイルから必要な書類を探し出すのは、担当者と監査員の双方にとっての負担だった。こうしたなかで、田中貴金属工業の伊勢原工場はISO文書管理のデジタル化を目的に、文書管理システムの導入を検討し始める。

他拠点との情報共有を通じて、
適切かつ利便性の高い文書管理体制を構築

文書管理システムの導入にあたって、伊勢原工場の担当者たちはまず初めにグループ内の他工場へのリサーチを行った。他工場における文書管理の体制を参考に、システムの導入や運用の構想を練るのが目的だった。そのなかで出合ったのが楽々Document Plus。田中貴金属グループでは、岩手や佐賀など他の貴金属材料を扱う拠点や電子部品の開発を行う拠点でも楽々Document Plusを導入し、ISO文書管理の運用を行っている。いずれの拠点でも導入は高評価を得ており、なかでも評価が高かったのがシステム構築の容易さだった。楽々Document Plusはプログラミング不要でシステムを構築できるノーコードツールであるため、ITの専任担当者でなくても導入が可能だ。当初から伊勢原工場では、高橋氏ら品質管理セクションのメンバーが導入を主導する予定であったため、まさに打ってつけのシステムだった。

こうして楽々Document Plusを選定した田中貴金属工業伊勢原工場は、2018年から導入プロジェクトを開始する。プロジェクトは品質管理セクションのメンバーが中心になって進められたが、この際には「他拠点との情報共有」が重要なポイントになったという。ITの専任担当者ではないメンバーが導入を手がけるため、先行してシステムを利用している他拠点からのアドバイスが必要不可欠だった。伊勢原工場品質管理セクションの橋本勇大氏は次のように説明する。

「とくに役立ったのがフォルダの構成のしかたです。たとえば、当初は文書を格納するフォルダの構成を部門や部署ごとに設定しようとしていたのですが、他工場の担当者からは『やめたほうがよい』とアドバイスを受けました。というのも、文書のなかには作業標準やマニュアルのように、部門や部署を超えて検索したり閲覧したりする性質のものが少なくないからです。これらの文書をすべて部門や部署ごとに格納してしまうと、必要な文書が見つけづらくなり、従業員にとってはかえって使いづらいものになってしまうとのことでした。そのため、当工場では作業標準やマニュアルなどは部門間の共有フォルダに格納し、その他の閲覧権限の設定が必要な文書については部門ごとや部署ごとに格納するといったフォルダ構成を採用しています」(橋本氏)。

こうして伊勢原工場における導入プロジェクトは着実に進行し、開始から約1年後の2019年10月にシステムの運用開始に至った。運用開始後も、橋本氏はグループウェアのチャット機能で他拠点の担当者と情報交換を行い、利便性の向上を図っている。

フォルダ構成

数千ページのISO文書の完全ペーパーレス化を実現。
スピーディーな文書検索も可能に

現在、田中貴金属工業の伊勢原工場では、紙の書類で保管されていた数千ページのISO文書はすべてデジタル化され、システム上で一元管理された。これにより、以前は工場内の10か所以上に設置されていたリングファイルは一掃され、ISO文書管理のペーパーレス化を実現している。文書改訂もワークフロー機能や版管理機能を利用すればシステム上で完結が可能だ。事実、伊勢原工場ではリングファイルの書類を差し替えるなどの作業が削減され、文書改訂に伴う手間が大幅に軽減されている。また、版管理機能により文書のバージョンも正確に管理されるため、ユーザは常に最新の文書を閲覧できる。さらに、文書の閲覧は全文検索機能で実施しており、ユーザは以前よりも容易に必要な文書にたどり着くことが可能になった。全文検索機能は、あいまいな文言でも文書を検索できる「あいまい検索」の機能などを備えており、これらの機能が文書の閲覧の効率化に大きく貢献している。

そのほか、楽々Document Plusの導入は顧客監査にもポジティブな影響をもたらした。導入前後の変化について、高橋氏は語る。
「以前、顧客監査の際には、開示を求められた文書をリングファイルのなかから探し出さなければいけませんでしたが、現在ではPCで検索すれば即座に文書を提示できます。さらに、版管理などもより正確に実施できるようになったことで、顧客監査の評価は導入以前よりも向上しています。顧客からの信頼を獲得するうえで監査対応は非常に重要なポイントですし、そうした事業の根幹に関わる部分にも楽々Document Plusはよい効果を与えています」(高橋氏)。

教育記録も集約し、「エース社員を量産する」ためのデータベースとして活用

今後、田中貴金属工業の伊勢原工場ではISO文書管理以外にも楽々DocumentPlusを展開し、さらなる活用拡大を図る方針だ。その一つが教育記録のデジタル化。同工場では従業員への教育や研修を実施した際に、上長が教育内容などを記した紙の書類を作成している。今後は、この文書をデジタル化することで、楽々Document Plusを従業員のスキルアップを促すツールとして活用していきたいと橋本氏は述べた。

「どの部門にも活躍の著しい『エース社員』的な存在の従業員がいます。教育記録を楽々Document Plusに集約できれば、そうしたエース社員がどのような教育を受けてきたかを可視化できます。そのデータを分析すれば、従業員のスキルアップを促すにはどのような教育を行えばよいかが明らかになるでしょう。そうすればエース級のスキルを有した従業員を量産することもできるかもしれません。いずれにせよ、今後は楽々Document Plusを組織の強化や人材育成を支えるデータベースとしても活用していくつもりです」(橋本氏)。

田中貴金属工業における楽々Document Plusの活用はまだ幕が開けたばかりだ。今後、多彩な機能を利用し、文書管理に留まらない活用法を見出していくに違いない。さらなる活用範囲の拡大に期待が寄せられる。

マテリアルカンパニー
伊勢原工場
品質管理セクション
チーフマネージャー
高橋 昌吾 氏
マテリアルカンパニー
伊勢原工場
品質管理セクション

橋本 勇大 氏

田中貴金属工業様のホームページ

※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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