学校法人青山学院
ハイパー全文検索により事務部門への問合せ業務を大幅削減
目次
楽々WorkflowIIが大規模かつ複雑な組織の業務効率化を一挙に実現
ハイパー全文検索により事務部門への問合せ業務を大幅削減
東京都渋谷区に本拠を置く学校法人青山学院では、組織構造の複雑さなどが要因となり、紙の申請書が業務効率化を妨げるボトルネックとなっていた。そこで、同学院は楽々WorkflowIIを導入し、紙の申請書の電子化を推進。システムを効果的に運用できる組織体制を構築するなどして導入を進め、当初目的にしていた申請業務のすべてを電子化した。これにより、同学院では約4,500枚/年の紙の申請書が削減されたほか、オプション機能の「ハイパー全文検索」を活用した全文検索も実現。従来行っていた紙の台帳による管理も不要になっている。
教職員3,000名以上の複雑な組織構造が業務効率化の阻害要因に
内部統制強化のためにも申請書のデジタル化が求められていた
全国的に高い知名度を誇る名門私立大学の青山学院大学。同大学に加え、高等学校から幼稚園までの一貫教育校を運営するのが学校法人青山学院(以下、青山学院)だ。キリスト教信仰にもとづく建学の精神にのっとり、創立以来数多くの人材を送り出してきた。2024年には創立150周年を迎え、記念事業の一つとして大学新図書館棟「大学18号館(マクレイ記念館)」を竣工した。
「Be the Difference」を合言葉に、次なる200年、250年の節目を目指す青山学院だが、さらなる飛躍に向け組織強化も着実に進んでいる。その一つが学内業務のデジタル化だ。青山学院は2019年に楽々WorkflowIIを導入し、紙の申請書で運用していた申請業務をデジタル化した。同学院はなぜこの取り組みに挑んだのか。その経緯について、総務部総務部長の新濱曉子氏は説明する。
「従来、当学院には部署間の申請に用いる『学内連絡書』、上層部の会議体に承認を得る際に用いる『議事連絡書』、物品購入などの際に用いる『稟議書』の3つが存在しました。これらはすべて紙の申請書で起案され、総務部や庶務部といった事務部門を介して組織内で回付されます。承認は印鑑による押印で行っており、決裁後には起案した部門に書類が戻され、各部門で保管が行われていました。これらの作業には多大な手間が費やされていましたし、アナログな管理手法は効率化を妨げる要因にもなっていました。」(新濱氏)。
青山学院は複数の設置学校を有することから、組織構造が複雑かつ大規模であり、紙の申請書で業務を管理するには限界があった。内部統制を強化するためにも、紙の申請書のデジタル化は求められていた。
「ハイパー全文検索」が決め手となり、楽々WorkflowIIを導入
独自の承認経路を設定し、既存業務を改善しながら導入を推進
こうしたなかで、青山学院は2018年ころからワークフローシステムの導入に向けて動き出す。ワークフローシステムの選定にあたって、青山学院は複数の製品を比較検討。価格や操作性、機能などの多角的な観点で最適な製品を検討した。その結果、選定されたのが楽々WorkflowIIだった。とくに、決め手になったのが楽々WorkflowIIの機能面だ。比較検討した製品には、ポータル機能などの余分な機能を備えているものが少なくなかった。その点、楽々WorkflowIIの機能はワークフローに特化しており、申請フォームや承認経路の作成を容易に行える手軽さも備えていた。さらに、追加オプションの「ハイパー全文検索」が導入を後押しした。ハイパー全文検索は、住友電工情報システムが開発・販売している全文検索エンジン「QuickSolution」を用いて、楽々WorkflowII内にあるすべての申請書を高機能な検索エンジンで一括検索できるオプションだ。標準機能では未対応である添付ファイル内のデータを検索したいというニーズに応えている。完全一致検索はもちろん、大文字/小文字、全角/半角などの表記の揺れを包括した検索や、あいまいな表現による検索も可能である。このオプションを活用すれば、教職員それぞれが自ら検索して過去の申請書を閲覧できるため、事務部門への問い合わせの大幅削減が期待できた。
こうして楽々WorkflowIIの導入を決めた青山学院は、2018年4月から本格的な導入作業に着手する。総務部や庶務部などの事務部門が、申請書や承認経路のリストアップや見直しを担当し、その後、情報システム部門である事務システム課がシステムの構築を担当した。このとき、申請書の見直しなどを担当した総務部総務課課長の佐藤由佳氏は「既存の業務をいかに効率的にできるか」に注力したと話す。
「導入の際に、既存の承認経路をリストアップしたところ、当学院には数十種類の承認経路が存在していたことがわかりました。これらをすべて熟知し、申請内容ごとに正しい承認経路で申請書を回付するのは、現実的に困難です。実際に、以前は申請書の差し戻しも多かったですし、総務部にも承認経路に関する問い合わせが頻繁に届いていました。そのため、楽々WorkflowIIを導入する際には、こうしたプロセスを可能な限り削減し、効率的に申請書を回付できるよう心がけました」(佐藤氏)。
具体的には、承認経路の設定に工夫を凝らした。承認経路は数十種類もあるため、起案者が選択していては、経路誤りの発生頻度を削減できない。そこで承認途中でも承認者が経路を柔軟に変更できる楽々WorkflowIIの機能を活用し、起案者が申請した全ての文書をいったん事務部門へ集約して、事務部門の職員がその後の承認経路を設定する体制を構築した。
これにより、申請者となる教職員は承認経路を詳細に覚えなくても申請業務を実施でき、かつ差し戻しなどのミスも抑制できる。こうした工夫を重ねることで、同学院はアナログだった申請業務を着実に変革していった。
全教職員にシステムを展開し、導入当初の目的を達成
ハイパー全文検索の積極活用で、業務効率化の効果が大幅アップ
2019年の運用開始から約5年が経過し、楽々WorkflowIIは青山学院にとってなくてはならないシステムに成長している。現在のユーザ数は約3,200名であり、同学院の教職員全員が楽々WorkflowIIを利用している。従来、紙の申請書で運用していた「学内連絡書」、「議事連絡書」、「稟議書」の3つはすべてデジタル化され、導入当初の目的は達成された。これにより、同学院では4,500枚/年の紙の申請書が電子化され、ペーパーレス化は大幅に進んでいる。
加えて、業務の効率化も進んでいる。従来、紙の申請書の回付や承認に要していた時間は削減され、意思決定は大幅に加速した。また、決裁後の申請書はシステム上で管理可能になったため、台帳による管理も不要になった。さらに、従来は申請業務の窓口となっていた事務部門の負担も大きく軽減されている。その状況について、庶務部庶務課の齋藤恵里奈氏は説明する。
「紙の申請書を受領・回付する必要がなくなったため、日常の業務が効率化しています。承認経路もシステム上であらかじめ設定したルートを選択するだけでよい上に、申請先のミスや差し戻しに伴う手間はほぼゼロになりました。なにより、各部門からの問い合わせが減ったのが大きな効果です。以前は過去の申請書を確認するために、私たちの事務部門に頻繁に問い合わせが来ていましたが、現在はハイパー全文検索を利用すれば、ユーザ自身が即座に必要な書類にたどり着けます。これによる業務負担の削減は大きいです」(齋藤氏)。
現在、青山学院では、ハイパー全文検索が利用されており、ユーザが自ら必要な文書を必ず見つけられるという利点もあり、青山学院では長年の課題であった業務負担の軽減に効果を発揮している。
楽々WorkflowIIは「着実にデジタル化を推進できるシステム」
各種機能の活用が、大規模組織への導入を後押し
楽々WorkflowIIへの評価を尋ねると、システムの構築を担当した事務システム部事務システム課の比企史明氏は「大規模な組織でも着実にデジタル化を推進できるシステムです」と答えた。楽々WorkflowIIの柔軟性の高い各種機能が、先行きの不透明だった導入作業をゴールへと導いてくれたのだという。
「当学院の組織は規模が大きくかつ複雑なため、当初は承認経路がどれだけ存在し、いつまでに導入を完了できるかなどが不透明でした。しかし、楽々WorkflowIIは柔軟に承認経路を設定できるほか、経路のコピーも可能。さらに、申請書も容易に作成できるなど、効率的に導入を進められる機能を数多く備えています。そのため、組織構造の問題からデジタル化になかなか着手できない組織にこそ、楽々WorkflowIIを利用してほしいと思っています」(比企氏)。
今後、青山学院では楽々WorkflowIIの更なる活用を検討し、可能性を広げていく予定だ。例えば、電子署名システムとの連携など、新たなシステムとの統合が視野に入っている。これにより、楽々WorkflowIの有効性が一層高まることが期待されている。
総務部 総務部長 新濱 曉子 氏
総務部 総務課 総務課長 佐藤 由佳 氏
事務システム部 事務システム課 比企 史明 氏
庶務部 庶務課 齋藤 恵里奈 氏