住ベ情報システム株式会社
57個の購買システムを6か月で統一
目次
「住友ベークライトグループ全社・全領域の購買システムを楽々ProcurementIIで再構築」
「短期間・低コストでの導入を実現」
「パンチアウト機能&Web-EDI機能の活用により、業務効率化に成功」
- 全57の購買システムが乱立状態、かつ全てが保守切れ間近
- 非効率な調達業務プロセス
多様な品目に対応し、購買業務に必要な機能が全て揃う
「楽々ProcurementII」を導入
- グループ全社、全領域の購買システムを統一
- 調達業務プロセスの標準化、効率化
- 購買実績の可視化とコストダウンの推進
住友ベークライト株式会社は硬化性樹脂に強みをもつ老舗の化学メーカーであり、半導体封止材、高機能プラスチック、包材、建材、医療、バイオなど幅広い製品を扱っている。住ベ情報システム株式会社は、住友ベークライトグループのシステム子会社である。
従来、購買システムは個別に社内開発しており、設備購買9拠点9システム、物品購買10拠点10システム、原料・外注購買8拠点38システムと、グループ全体で合わせて57の購買システムが存在した。その全てが保守切れ間近の古いホストコンピュータや、クライアントサーバで構成されていたことから、早急に全システムを再構築する必要があった。今回「楽々ProcurementII」の導入により、課題であった旧システムからの脱却と、グループ全社・全領域の購買システム統合に成功した。
旧システムからの脱却、「楽々ProcurementII」導入への取り組み
「当初は社内開発で「設備」「物品」「原料・外注」を個別に再構築する予定でした。」と、住ベ情報システムのプロジェクトマネージャー伊達木氏は語る。再構築に当たり、まずは設備購買の構想から着手した。そして、購買業務は普遍性が高く、かつノンコア業務寄りということから、社内開発ではなくパッケージ導入が望ましいとの考えに至った。さらにパッケージであれば「全領域をひとつのシステムで統一」することが可能と判断し、システム部長へ相談。短期間かつ過去最大規模のプロジェクトということで方向転換には内心不安を感じていたが、部長の「いいじゃないか、やろう」との一言に背中を押された。
時間的な制約がある中で、パッケージソフトは(1)製造業で豊富な導入実績・システム統合の成功実績を持ち(2)低コスト・短工期で導入ができ(3)信頼できるベンダーであることを条件とした。最終的には住友電工情報システムが、全領域をカバーできる購買パッケージ「楽々ProcurementII」を持ち、住友電工グループ内でも本格運用していることから、これに賭けてみることにした。
導入に当たり、住ベ情報システム内に事務局を発足。最初に事務局のメンバーが評価機で、パッケージと現状業務との差を分析(Fit & Gap)した。その結果、ほとんどの業務フローがパッケージ標準で網羅されており、実業務への適合性の高さを実感した。次にプロジェクトの趣旨説明、デモ、個別展開のためのヒアリングを全社関係部署に実施した。システムを統一することへの反発を覚悟していたが、現地に足を運び説明したところ意外にも好意的で、理解を得ることができた。ここで、本システムを「超達屋」(全社・全領域を、1つでカバーする超調達システムの意)と名付け、本番稼働への第一歩を踏み出した。
「楽々ProcurementII」でグループ全社・全領域の購買システムを統合
6ヵ月間での本番化が、設備購買の最大の課題であった。住ベ情報システム主導で現場に密着するという従来のやり方では間に合わないので、パッケージとの差(Gap)をどう埋めるかは利用部門である生産技術部自身が考える方法で導入を進めた。事務局は業務マニュアル作成、集合教育の実施、課題・質問への対応に徹した。
設備購買の統合は、購入依頼、発注の領域で従来苦労していた事業所間の紙帳票のやりとりをオンライン化することに焦点を絞り、運用を工夫。ほぼパッケージの標準機能のみでGapを乗り切り、短期間でスケジュール通りに本番化を達成した。またこのオンライン化により、紙帳票に起因するトラブルの撲滅も実現した。
物品購買の最大の特徴は膨大な取扱品目数と発注・検収の件数であり、現場密着で社内開発された従来のシステムと「超達屋」では、社内カタログ品の登録・管理方法に大きな差異があった。このため、従来と同様の業務プロセスを再現しようとすると、利用者の作業増が予測されたので、以下のようにパッケージの機能を使い分けることで対応することとした。
取扱品目・課題 | 実現方法 | |
---|---|---|
1 | 自社が仕様を決め、定常的に購入する専用品 | パッケージの社内カタログを利用。但し、利用は最小限とする |
2 | 物品購買の多くを占める、事務用品などの汎用品 | パンチアウト機能を利用(超達屋では「買い物カゴ連携」と呼ぶ) |
3 | 購入頻度が少なく、つど見積もりを取って購入するスポット品 | パッケージのスポット購買機能を利用 |
4 | 発注・検収件数の多さ | Web-EDI機能でカバー |
こうしてパッケージの優れた機能を有効活用しGapを埋めることで、物品購買全体としては負担増とならず、むしろ工数削減という大きなプラス効果が得られた。「買い物カゴ連携」では、社内カタログのマスター管理や納期確認のやりとり、承認フローの待ち時間などが不要となり、工数が半減。「マスター登録不要で便利になった」、「依頼時間の短縮になった」、「代理店集約によりコストダウンができた」などの声が寄せられている。
また、FAXに依らず、取引をPC(ブラウザ)上で完結できるWeb-EDI機能は、取引先にも好評だ。さらに検収処理が指定納品書のバーコードを読み込むだけとなり、作業工数を1/3近くまで削減できている。
原料・外注購買はシステム数が38と最も多く、自社固有・拠点固有の商材や業務プロセスが多いため、統合の進め方は非常に悩んだ。運用の工夫などにも限度があり、必要なカスタマイズは実施することにした。
重要なカスタマイズの一つとしては、社員であっても自分の関係する原料の品目・単価情報しかアクセスできないようにしたことが挙げられる。化学メーカーは原材料のレシピが命であり、購買情報を自社内といえども他部門に広く公開できないためである。
拠点固有の業務に対しては、各拠点のマスターの違いを吸収する仕組みを、社内でアドオン開発することで解決した。またそれによって、パッケージに収まり切らない40桁の長大な社内品番の問題をもクリアした。こうして固有の業務に対応しながらも、当初は膨らむと懸念していたカスタマイズ数を最小限に抑え込むことができた。
導入効果とこれから
最大の課題であった「保守切れ間近の全57システムを、ひとつのシステムに統合する」ことについては、2016年度前半に完了する予定である。「設備購買」は6ヵ月、「物品購買」は12ヵ月で計画通りに統合を完了した。「原料・外注購買」も山場を越えており、統合開始から約18ヵ月で完了する予定となっている。
成果としては、オンライン化による自動処理、パンチアウトやWeb-EDI機能の活用による工数削減など、「業務効率化」の効果があらわれはじめている。また、長年の要望であった外貨対応も、パッケージ標準で実現できた。加えて、全システム・全領域を統合したことにより、購買プロセスや購買実績を可視化できるようになり、全社一律の基準でデータ分析できるようになった。なお新規事業の立ち上げや拠点拡大の際も、この「超達屋」で迅速に購買システムの環境を整えられるようになっている。
今後は、買物カゴ連携、Web-EDI機能のさらなる利用推進と、物品購買単価の低減を目指しているという住友ベークライトグループ。「楽々ProcurementII」の特性を活かし、これからも購買業務の効率化とコスト削減を進めていく。
担当部長 伊達木 大輔 氏
「楽々ProcurementII」は全社・全領域の購買業務を受け止めてくれるだけの懐の深さがありました。当初はGapと認識していた点も「楽々ProcurementII」の方が正しく、我々より進んでいるという点が多々あり、豊富な経験に裏付けられたパッケージメーカーの的確な支援が、購買業務を最適化する支えになりました。
※住ベ情報システム株式会社は、2023年10月に住友ベークライト株式会社に吸収合併されました。※本記事の社名、肩書、内容は2015年11月時点のものです。