株式会社西友
コンプライアンスリスクの大幅低減を加速
目次
購買業務に要する時間を半年で5,000時間削減
購買業務の標準化で、コンプライアンスリスクの大幅低減を加速
大手スーパーマーケットチェーンを展開する株式会社西友(以下、西友)は、経営体制変更に伴う社内システム刷新プロジェクトの一環として、楽々ProcurementIIを導入。従来、基幹システムの購買管理機能で実施していた業務を楽々ProcurementIIに移行した。これにより、購買業務1件につき約5分の作業時間を削減し、運用開始から約半年で約5,000時間分の業務を効率化した。さらに今後、同社は楽々ProcurementIIの適用範囲を他部門にまで拡大させ、購買業務の一元化・標準化によるコンプライアンスリスクの大幅低減を加速する。
経営体制の変更をきっかけに社内システムを全面的に刷新
購買管理システムの一元化によるコンプライアンスリスクの低減を目指す
大手スーパーマーケットチェーンとして知られる西友。1963年の創業以来、高品質でお得な商品の提供にこだわり、価値創造に向けた妥協のない革新を続けてきた。2021年3月には米投資ファンドのKKRを株主に迎え、新たな経営体制を発足。「私たちの使命」として「『西友が身近にあるしあわせ』をめざして」を掲げ、さらなる変革を進めている。
DXによる新たな価値の創出を目指す西友だが、その実現にはデータ基盤の整備が欠かせない。同社は2021年の経営体制変更をきっかけに、社内システムの全面的な刷新に取り組んできた。基幹システムをはじめ、インフラや各種業務システムを新たな製品に移行し、データ活用の基盤構築を進めている。
そして、その一環として導入されたのが楽々ProcurementIIだ。以前、西友は購買業務の一部を基幹システムの購買管理機能で行っていたが、従来の仕組みには課題も少なくなかったという。人事総務本部 人事戦略部 人事総務PMO ダイレクター 橋本喜子氏は次のように説明する。
「以前は、当社に統一した購買業務の仕組みがなく、プロジェクト案件の間接購買にのみ基幹システムの購買管理機能を利用していました。そのため、既存事業の部門はバラバラの方法で物品を発注・検収し、その後に会計部門が請求処理を行っていました。しかし、この方法ではコンプライアンス上のリスクがぬぐえません。例えば、当社では『特定の物品を発注する際には相見積りを取る』という社内規定を設けているのですが、購買業務のプロセスが一元化されていないため、実際に相見積りを取っているかを確認するのは困難でした。さらに、発注・検収と請求処理が独立して行われていたため、検収書の金額と請求金額が本当に一致しているかを確認するのにも多くの手間がかかりました」(橋本氏)。
購買業務にまつわる複数の課題を抱えていた西友は、基幹システムの刷新をきっかけに、新たな購買管理システムの導入を決定。従来、プロジェクト案件でのみ利用していた購買管理システムを、既存事業の部門にも横展開することを目指した。
「SaaS」「国産製品」「価格」などを評価し、楽々ProcurementIIを導入
綿密なヒアリングを実施し、購買業務の標準化を推進
購買管理システムの選定にあたって西友は複数の要件を設定した。その一つが「SaaSであること」。同社は社内システムを刷新する際の方針としてサーバレスを掲げていた。また、他のシステムの移行作業にも多大な工数を要することから、購買管理システムについては手軽に導入できるSaaSが望ましかった。さらに、「国産製品であること」も重要な要件だった。従来、利用していた基幹システムは海外製であったため、日本語の翻訳などに不満を感じる場面が少なくなかった。そのため、国産製品であり、数多くの日本企業で利用されている製品を求めた。
こうした要件をもとに西友は3製品での比較検討を実施。各種機能を評価する比較表を作成し、デモなども行って選定を進めた。その結果、楽々ProcurementIIの導入が決まる。決め手になったのは価格と機能だった。比較検討した競合製品のなかで、最も安価かつ求める機能を過不足なく備えているのが楽々ProcurementIIだった。また、デモの際には操作性の良さにも高い評価が集まった。楽々ProcurementIIのシンプルな画面は初見のユーザでも理解しやすく、日本語のメッセージも的確で円滑な操作が期待できた。
楽々ProcurementIIを選定した西友は2023年初頭から導入作業に着手する。橋本氏をプロジェクトリーダーに、情報システム部門など複数の部門からメンバーを招聘。計6名のプロジェクトチームを編成し、要件定義やシステムの構築を推進していった。このなかで、特に力を尽くしたのが業務フローの標準化だった。その過程について、人事総務本部 リスク・コンプライアンス部 倫理・コンプライアンス推進 ダイレクターの長尾翔氏は振り返る。
「各部門の購買業務の体制やフローのヒアリングを進めていくと、部門の購買業務には複数のフローがあり、標準化を進めるために2つのパターンを作成することとしました。一つは部門内に購買担当者を置くパターンで、もう一つは各メンバーが購買担当者となって発注や検収を行うパターンです。」(長尾氏)。
さらに、長尾氏らは購買業務の標準化に並行して、マニュアル作成にも取り組んだ。ベンダーが提供する操作マニュアルを自社の業務フローに適した形に編集し、社内や取引先に共有。カットオーバー後を見据え、システムの定着も同時に進めていった。
購買業務1件につき5分の業務時間を削減
全社展開を加速し、購買業務の標準化によるコンプライアンスリスクの低減を実現
2023年8月、西友は楽々ProcurementIIの本番稼働を開始した。楽々ProcurementIIには、従来の基幹システムには備わっていなかった機能も充実しており、購買業務の効率化が進んでいる。その効果について、情報システム本部 アプリケーションサービス部 バックオフィスグループの吉田純己氏は解説する。
「以前の基幹システムには、見積書や注文書を管理する機能が備わっておらず、それらの書類は文書管理システムに保管していました。一方、楽々ProcurementIIはシステム上で文書を管理できるため、従来の保管作業は不要になりました。また、注文書などへの押印も以前はサードパーティの電子署名システムを使っていましたが、そうした押印作業も楽々ProcurementII導入により不要になりました。これにより、購買業務1件につき約5分の業務時間が削減され、稼働開始から約半年間で5,000時間分の業務が効率化されています」(吉田氏)。
今回の導入により、従来、基幹システムで行われていた購買業務はすべて楽々ProcurementIIに移行された。今後、西友は既存事業部門へのシステム展開を加速する方針だ。これが実現すれば、部門ごとにバラバラに行われていた購買業務が可視化・標準化され、見積りから請求処理までを一気通貫で管理可能となり、当初の目的であった購買業務の一元化・標準化によるコンプライアンスリスクの低減が実現される予定だ。
導入時に重要なのは「目的」と「方針」をしっかり定めること
パッケージ製品の強みがスムーズな導入を可能にした
これまでの取り組みを振り返って、情報システム本部 アプリケーションサービス部 バックオフィスグループ ダイレクターの藤浦馨氏は「導入はひとまず上々です」と手応えを語った。
「以前の基幹システムの後継システムとして、楽々ProcurementIIは十分役割を果たしてくれています。他のシステムの移行作業と並行しながらも、スムーズに導入を進められたのも、パッケージ製品の強みがいかされた結果だと思います。しっかりと目的と方針を定めたうえで楽々ProcurementIIを導入すれば、煩雑な購買業務を大幅に効率化できると 思います」(藤浦氏)。
経営体制の変更に伴う、社内システム刷新の取り組みはまもなく完了を迎える。新たに確立したデジタル環境をいかし、西友はさらなる成長を目指す。楽々ProcurementIIは、次世代に向け躍進を遂げようとする同社の根幹を支える役割を担っている。
人事総務本部 リスク・コンプライアンス部 倫理・コンプライアンス推進 ダイレクター 長尾 翔氏
人事総務本部 人事戦略部 人事総務PMO ダイレクター 橋本 喜子氏
情報システム本部 アプリケーションサービス部 バックオフィスグループ 吉田 純己氏
情報システム本部 アプリケーションサービス部 バックオフィスグループ ダイレクター 藤浦 馨氏