株式会社タマディック
購買管理の標準化と内部統制強化を実現
目次
Web購買システム「楽々ProcurementII クラウドサービス」を導入し購買業務の標準化、内部統制の強化を実現。
毎月の経営層への実績報告も迅速に。
エンジニアリング企業として歩みを進める株式会社タマディック。同社では、発注プロセスは遵守しているが、各拠点での運用面が統一されておらず、購買業務が非効率であることや内部統制の強化も課題となっていた。これらを解決するためにクラウド版Web購買システム「楽々ProcurementII(らくらくプロキュアメントツー)クラウドサービスを導入。購買業務全体の電子化やペーパーレス化を推進し、業務の効率化と購買管理による内部統制の強化を実現した。
購買業務の標準化、内部統制の強化が急務
1959年の設立以来、戦後初の国産旅客機、国内初の宇宙ロケット、世界初の量産ハイブリッドカー、国産初のジェット旅客機など、各分野のトップメーカーとともに、最先端の技術開発・革新に取り組んできた株式会社タマディック。顧客の成長、社会の発展に貢献する高付加価値エンジニアリング企業を目指す企業として、設計だけでなく、研究、開発、設計から生産技術、試作、試験、品質保証、評価、製造まで、ものづくりすべてのフィールドで統合された技術サービスや設計製作を提供できることが同社の強みだ。昨今は、高度な専門性と技術力を要求される上流業務・中核業務への進出や開発案件の一括請負化など、顧客満足度を向上するべく挑戦と進化を続けている。
同社がエンジニアリング企業として更に成長していくうえで購買業務の改善が急務となっていた。タマディック 管理本部 購買部 購買Gr 山崎氏は従来の購買業務の課題について「注文書や納品書の運用が拠点ごとにバラバラになっていました。注文書については、生産管理システムに出力できる機能はあったのですが、そのシステムの利用が徹底されておらず、多くの拠点ではExcelを使って独自で作成していましたし、発注書の発送についてもPDF化してメールで送付したり、FAXで送信したりと拠点ごとに運用が統一されていませんでした。また発注業務は拠点主導でシステム化もされていなかったので、管理部門は発注状況や納期管理などが監視できておらず結果管理の状態でした。」
経営資料を早期に取り纏めるには、支払実績を早期に集計する必要があった。「経営層に、経営判断の資料となる毎月の実績を出来るだけ早く渡さなければならないのですが、支払実績は協力会社から受領する請求書を基に行っていました。」請求書は協力会社から発注元である各拠点に届き、それらを各拠点で支払実績を取り纏めてから管理部門に送ってもらい、そこから管理部門での処理を実施するので、それが難しい状況でした。」(山崎氏)
同社は、購買業務の標準化、内部統制の強化、経営資料報告の迅速化、ペーパーレス化などの課題を解決するために購買管理システムの導入を決断した。
派遣業務や業務委託の発注への標準対応などを高く評価
楽々ProcurementIIにはオンプレミス版とクラウド版があるが、同社はクラウド版を選択した。その理由について山崎氏は「以前、他のシステムをオンプレミスで運用していたのですが、今回は障害発生時の迅速な対応や、運用負荷の軽減が期待できるクラウドサービスを選びました。さらに初期の導入コストが低いことも選択理由になりました。」と振り返る。
同社は複数社の製品について比較表を作成し選定を行った。その中で住友電工情報システムのクラウド版Web購買システム「楽々ProcurementII クラウドサービス」を最終的に決定した。評価ポイントは大きく4点あった。
- 業務委託や間接材購買だけでなく、派遣業務に標準で対応できること。
- ユーザー数に関係なく一定のコストでサービスを受けられること。
- 取引先のWeb機能が標準であり、社外の協力メーカーも利用できること。
- 必要な機能を満たしていることに加え、カスタマイズが行えること。
山崎氏は「派遣業務に標準で対応している購買管理システムがあるとは思っていなかったので、うれしい驚きでした。3社を比較した段階で楽々ProcurementII クラウドサービスは機能面でとても充実しており、さらに評価機を使って事前に確認できたことも良かったです。他の2社は評価機の提供といったサポートはありませんでした。プロジェクトごとの検収金額への対応についてはカスタマイズしていただきました。」と説明する。
楽々ProcurementII クラウドサービスの導入を進めるための稟議書の作成では、現在の問題点や改善点、事務手続きの削減、初期費用、ランニングコスト、費用対効果などのポイントを挙げ、トップの了承を受けた。「費用対効果では、管理部門に月初に集まった請求書の原紙を整理するのに8時間を要していたのが4時間に削減できるといった比較表をつくりました。さらに紙の保管スペースの削減やFAXの通信料の削減まで細かく効果を見積もって比較しました。」(山崎氏)
購買ルールの統一により内部統制の強化を実現
購買管理システム導入プロジェクトには、購買管理業務を担っていた営業部を中心に、企画管理部にはシステムのセキュリティ面でサポートを頂いた。2012年4月に同プロジェクトがスタートし、2013年6月にキックオフ。2013年10月から伝票の数の少ない部門から段階的に導入していき、2014年4月に全社でスタートした。
「ユーザー教育のために1カ月間かけて各拠点をまわったり、100社以上の協力メーカーさんに対して説明会を開催したりしました。通常の業務を行いながら購買管理システムの導入に取り組んでいたため、導入前3ヶ月は業務負荷がかなり高くなりましたが、住友電工情報システム及び部内の献身的なサポートにはとても助けられました。」と山崎氏は話す。
楽々ProcurementII クラウドサービスは、現在、設計部門、管理部門を対象に約250人に利用されている。
導入後、4年が経過し楽々ProcurementII クラウドサービスは全社の購買管理システムとして定着し、購買業務全体の電子化、ペーパーレス化によって購買プロセスの改善が図れ、また内部統制強化の観点からも購買ルールが統一できたメリットは大きいという。山崎氏は「従来、発注の運用がバラバラでしたが、今は現場の部長決裁から購買部門へとフローが流れていくルールに統一できました。データの一元管理とともに発注前に第三者の閲覧が入ることで内部統制の強化につながっています。」と説明する。
楽々ProcurementII クラウドサービスの導入により、実績の早期把握、経営資料報告の迅速化を実現
月末、月初に集中していた業務負荷の平準化も実現した。また紙の帳票から帳票データに運用が変わり、請求書ベースから納品書ベースに移行できたことで、実績も早期に把握可能となった。山崎氏は「経営層に対しても、経営資料となる毎月の実績を迅速に報告できるようになりました。購買管理システムの導入により当初期待していたことはすべて実現できました。」と笑みを浮かべる。
業務の効率化の観点では、電子申請により紙の書類を持ち歩く手間や作業の煩雑さもなくなり申請者も承認者も楽になった。また月初の請求書の処理がなくなり実務担当の負荷軽減も図れた。
今後の展望について山崎氏はこう話す。
「楽々ProcurementII クラウドサービス導入による購買管理を統括し集中購買の基盤構築は、ほぼ出来てきたので、将来的には楽々ProcurementII クラウドサービスから間接材やCADデータから直接、部品の発注へつなげたいという構想を描いています。」
管理本部 購買部 購買Gr
山崎 貴司 氏 ※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。