ヒガシマル醤油株式会社

ヒガシマル醤油株式会社

COBOLシステムオープン化

「ローコード」+「DOA(データ中心アプローチ)」で、レガシーシステムのシステムマイグレーションをスムーズに実現

兵庫県たつの市に本社を置くヒガシマル醤油株式会社(以下、ヒガシマル醤油)は、IBM i(旧 AS/400)上のCOBOLシステムを新たな開発基盤に移行し、システムのブラックボックス化などを解消するため、楽々Framework3を導入。
楽々Framework3の「ローコード」+「DOA*」の特徴を有効活用し、スムーズなシステムマイグレーションを実現した。これにより、同社では、システムのブラックボックス化が解消することができ、マスタメンテナンスが効率化されるなどの効果があり、容易にシステムを改修できる体制を敷くことができた。

*DOA(Data Oriented Approach:データ中心アプローチ):
業務システムの設計手法の一つで、ビジネス環境によって変化しやすい業務プロセスや機能ではなく、変化が少なく安定した「データ」に着目し、データの構造や関係を定義していく方式

COBOLで開発したシステムがブラックボックス化
改修作業を効率化するため、Javaベースのフレームワーク導入を決めた

淡口醤油発祥の地である兵庫県たつの市に本社を置くヒガシマル醤油。関西地方を中心に厚い支持を得ている淡口醤油「特選丸大豆うすくちしょうゆ」や、ベストセラー商品となった粉末調味料「うどんスープ」などで知られる。創業は天正年間(1580年ごろ)であり、歴史は400年以上に及ぶ。その伝統を受け継ぐ姿勢を表したのが、同社のスローガンである「おいしさをずっと、400年。」。地元・揖保川の水や地元産の小麦、大豆などにこだわり、創業の精神を継承しながら、品質向上や新たな製品開発に挑み続けている。

長年受け継がれてきた伝統が強みのヒガシマル醤油。しかし、その歴史の長さが課題になることもある。例えば、情報システムの領域では、レガシーシステムが問題となった。以前、同社では国産のオフィスコンピュータを用いてCOBOLで各種システムを開発・利用していた。しかし、ベンダーがオフィスコンピュータ事業から撤退したことから、IBM i(導入当時はAS/400)へのマイグレーションを実施。その結果、IBM i上でCOBOLのシステムを運用することとなった。この体制が続くにつれ、いくつかの課題が表面化してきたと情報システム部の市村浩平氏は振り返る。

「IBM iは処理速度が速いうえに、Webアプリケーションサーバやデータベースサーバとしても利用できるため、大変使い勝手のよい製品です。しかし、以前から使い続けているCOBOLのシステムが、人員の入れ替わりなどによりブラックボックス化しており、改修作業が困難になっていました。なかには、現在の業務には適合しないにも関わらず、無理矢理使い続けているシステムもあったほどです。そこで、IBM iは維持しつつ、レガシーシステムを新たな開発基盤に移行し、ブラックボックス化を解消する計画が立ち上がりました」(市村氏)。

ブラックボックス化を解消するためには、古い開発言語を新たなものに更新する必要がある。そこで、ヒガシマル醤油はCOBOLからJavaへの移行を決め、Javaベースのフレームワーク製品の導入を検討し始めた。

楽々Framework3の「DOA」との親和性を評価し、導入を決定
画面プログラムとバッチプログラムを分けた開発で、スムーズな移行作業を実現

製品選定にあたって、ヒガシマル醤油は複数のフレームワーク製品を抽出し、比較検討を実施した。その結果、導入を決めたのが楽々Framework3だった。

決め手になったのが楽々Framework3の採用している「DOA」に基づいたデータモデリングだ。楽々Framework3では、データベースの設計を先行して実施し、その後に画面などの設計や開発を行う。データを中心にしてシステムを構築するため、プログラムを改修しやすく、業務プロセスの変更などに対応しやすい。導入後の保守性の向上を見据え、ヒガシマル醤油は楽々Framework3のDOAを高く評価した。

また、楽々Framework3のローコード機能もポイントだった。楽々Framework3は、テーブル定義情報からプログラムを自動生成し業務パターン部品を要件に合わせて選択する機能を備えている。スムーズな移行を目指していた同社にとって、ローコード開発が可能な楽々Framework3は、まさに最適な製品だった。

製品選定を終えたヒガシマル醤油は、市村氏を中心に移行作業を開始。移行の対象だったCOBOLのシステムは、画面プログラムとバッチプログラムで構成されていたため、画面プログラムのみを楽々Framework3で開発し、バッチプログラムは可能な限り再利用する方針を採った。これは移行作業の効率化が狙いだったのだが、この方針が功を奏し、迅速な開発が実現したと市村氏は話す。

「すべてのプログラムをJavaに書き直していては、移行作業に膨大な時間を要してしまいます。そこで、画面プログラムのみJavaに書き直し、IBM iの独立した異なるアプリケーションを連携するPCML(Program Call Markup Language)の機能を用いることで、バッチプログラムとの連携を図りました。これにより、バッチプログラムに手を加えることなく移行が可能となります。実際の移行作業時には、バッチプログラムの起動パラメータを一部変更していますが、業務ロジックはそのまま移行しています。これによる効率化の効果は大きく、私自身、よい作戦だったと満足しています」(市村氏)。

PCMLによる楽々Framework3とレガシープログラムの連携
  • IBM iの標準機能であるPCMLを利用し、楽々Framework3で開発した画面プログラムとバッチプログラムを連携。これにより、バッチプログラムにはほぼ手を加えずに移行が完了した。

そのほか、ヒガシマル醤油は楽々Framework3のローコード機能を活用し、IBM i上のデータから画面などを開発。効率的に移行作業を進め、目標だったCOBOLシステムのシステムマイグレーションを実現した。

楽々Framework3の各種機能を活用し、旧来システムの利便性を向上
マスタ画面を集約するなどして、メンテナンス工数を大幅に削減

楽々Framework3の導入により、旧来のCOBOLシステムはJavaに移行され、ブラックボックス化は大幅に解消。以前は困難だった改修作業も現在は容易になっている。また、楽々Framework3で新たな画面を開発したことにより、システムの利便性も向上した。その一つがマスタ画面だ。旧来のCOBOLシステムでは、マスタの新規入力画面と削除画面が別々に存在していた。しかし、楽々Framework3はテーブルを定義すると、マスタの登録、参照、更新、削除を実行できる画面を自動的に作成するため、以前は二つの画面で行っていた作業を、一つの画面に集約することができた。

また、関連性の高いマスタを一つの画面に集約し、メンテナンス工数を削減する仕組みも構築している。これによる業務効率化の効果は大きいと市村氏は語る。

「以前のCOBOLシステムでは、関連性の高いマスタが複数の画面に分かれていたため、担当者は一つずつ画面を開いてメンテナンスしなければならず、修正漏れのリスクもありました。しかし、楽々Framework3は、複数のマスタを親子関係に定義できる『複数ディティールパターン』を選択可能なため、関連性の高いマスタを一つの画面に集約できます。この仕組みには、データを中心に据えローコードで画面を作成できる楽々Framework3の強みがいかんなく発揮されていると思います」(市村氏)。

楽々Framework3は、複数のマスタを関連性の高い一つの画面に集約

市村氏は、マスタ画面の集約によるメンテナンス工数の削減について「生産性が圧倒的に向上しました」と話す。レガシーシステムのシステムマイグレーションを目的に導入された楽々Framework3だったが、現在ではシステムの利便性向上や業務効率化にも確かな効果を発揮している。

導入のポイントは「どのような方針でデータベースを設計するか」
レガシーシステムと折り合いをつけながら楽々Framework3の強みをいかすべき

レガシーシステムのシステムマイグレーションのポイントとして、市村氏は「どのような方針でデータベースを設計するか」が重要だとした。DOAを採用している楽々Framework3を用いる場合、データベース設計が開発の進め方やスピードに大きな影響を与えるのだという。

「システムマイグレーションにあたって、データベース設計を根本的に一からやり直すといった移行方法もあると思うのですが、その場合は大量の人員や工数が必要になります。そうした方針を当社では採らず、レガシーシステムと折り合いをつけながら一部ずつ移行する折衷的な進め方をしたのですが、それでも楽々Framework3の強みを十分にいかすことができました。そのため、楽々Framework3でシステムマイグレーションを行う際には、どのような方針でデータベースを設計するのかを、まず初めに検討することをお勧めします」(市村氏)。

クラウドファーストが急速に普及する一方で、さまざまな理由から旧来的なインフラやシステムを維持せざるを得ない企業は少なくない。そのジレンマをいかに乗り越えるのかは喫緊の課題だ。本事例で、ヒガシマル醤油が導き出した「答え」は、そうした悩みを抱える多くの企業の道しるべになるに違いない。

市村 浩平 氏
ヒガシマル醤油株式会社
情報システム部 課長
市村 浩平 氏

ヒガシマル醤油株式会社のホームページ

※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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